鉄道模型作りに情熱を燃やす高校生たちがいる。7月に東京ビックサイトで行われた、鉄道ジオラマの出来ばえを競う「第11回全国高校鉄道模型コンテス2019」で披露された力作を紹介する。(文・写真 中田宗孝)
箱根駅伝と紅葉の山々をあえて一緒に
海城高校(東京)鉄道研究部は、箱根の人気観光地をジオラマにして表現した。「峠『宮ノ下』」と題し、箱根登山鉄道の宮ノ下駅を中心に据え、箱根の魅力を凝縮した作品だ。「ダイナミックな高低差のある地形の中に、明治創業の『富士屋ホテル』など歴史的建造物がある箱根の雰囲気が好きで題材に選びました」(阿部伸也君・2年)
紅葉が見ごろを迎える11月の箱根の山々と、作品手前に再現した「箱根駅伝(1月開催)の様子」をあえて共存させた。「箱根は人と鉄道、そして自然が密接に関わる場所。箱根で人が輝くのは箱根駅伝、自然が輝くのは紅葉の時期だと思ったので両方、作品内に作ることにしたんです」(阿部君)
箱根の雄大な山々を表現
作品最上部には、箱根登山鉄道塔ノ沢駅と大平台駅の間、標高222メートルの地点に設置される「出山信号場」をリアルに作り込んだ。この部分には、Nゲージサイズ(実際の電車の1/150の大きさ)よりも小さいZゲージサイズ(実際の電車の1/220の大きさ)の鉄道を配置。「そうすることにより、遠近法で箱根の山々の高さを際立たせています。僕の自信作の箇所でもあるし、お客さんたちからも褒められました」(阿部君)
作品は、同部初受賞となる「モジュールレイアウト部門」優秀賞に選ばれた。「最優秀賞にあと一歩……という気持ちもありますが満足しています。あとは後輩たちに託します(笑)」と、阿部君の表情は晴れやかだ。また、「学生が選ぶベストワン賞」も受賞。富士屋ホテルなど建物の制作に携わった倉林伸明君(2年)は、「鉄道ジオラマ制作の苦労が分かっているみなさんから評価されて嬉しい」と語った。