鉄道模型作りに、情熱を燃やす高校生たちがいる。7月に東京ビックサイトで行われた、鉄道ジオラマの出来ばえを競う「第11回全国高校鉄道模型コンテスト2019」で披露された力作を紹介する。(文・写真 中田宗孝)
1000にものぼる座席や人形を手作り
日本大学藤沢高校(神奈川)鉄道研究部は、プロ野球・横浜DeNAベイスターズの本拠地である横浜スタジアムを制作した。球場の下には、横浜市営地下鉄関内駅をモチーフに作った地下鉄が広がる。副部長の加藤巧也君(2年)は、「横浜スタジアムの座席と観客は一つ一つ手作り。約1000席、約1000の人形をそれぞれ作っていくので、単純作業ゆえに大変でした(苦笑)」と振り返る。部員たちは、横浜DeNAベイスターズのキャップを被り、足を止める来場者に自分たちの力作を解説した。
夏の甲子園の切符かけて戦う野球部を応援
約3カ月にわたった作品制作の追い込み時期、同校の硬式野球部が神奈川県大会の決勝進出との一報が飛び込み、鉄研部員たちも歓喜に沸いた。「決勝の舞台は横浜スタジアムなんです。僕らも野球部を応援しようと一つになりました」(加藤君)。偶然にも、「鉄道模型コンテスト」最終日の7月28日、甲子園出場をかけた神奈川県大会の決勝戦が行われた。「僕らは、野球部を応援する際に使用する自校のキャップも会場で被りました。『試合中の野球部を応援してください!』と書いた紙を掲げて、会場のみなさんにもアピールしたんです」(加藤君)。試合結果は、対戦相手の東海大学付属相模高校(神奈川)に敗退。鉄研部員たちは、仲間たちの奮闘に遠くから熱い声援を送り続けた。
作品は、142校がエントリーした「モジュールレイアウト部門」で、20校が選ばれる「ベストクリエイティブ賞」、3校に与えられる「ベストファンタジー賞」のダブル受賞を果たした。