8月1日から7日にかけて、愛知県のパークアリーナ小牧などで開催された全国高校総体(インターハイ)バスケットボール女子。7日の決勝は、桜花学園(愛知)が岐阜女(岐阜)を70-61で破り、2年ぶり23回目の優勝を飾った。(文・写真 青木美帆)
女王から挑戦者へ、厳しい戦い
男女を通じて最多の全国制覇を誇り、「高校バスケット界の女王」という肩書きを欲しいままにしてきた桜花学園。しかし今大会の戦いぶりは女王のそれではなく、挑戦者としての非常に厳しいものだった。
6月の東海大会決勝で安城学園(愛知)に敗れ、シード権を逃した。さらに追い打ちをかけるように、大会直前の7月21日、ゴール下で大きな存在感を示した伊森可琳(3年)が右足の前十字靭帯を断裂し、エントリーを外れることに。キャプテンの坂本雅(3年)は「伊森の分まで頑張ろう」と大会に臨んだと話すが、2回戦の昭和学院(千葉)戦は残り3秒、岡本美優(2年)のシュートが決まらなければ負けていた試合。試合後、選手たちは安堵のあまり涙を流した。
1試合ごとに1人ひとりが成長
井上眞一コーチは、今年のチームを「力はないけれど、1つひとつ勝ち上がるごとに成長していった」と評価する。前述の昭和学院戦を皮切りに自信をつけ、準々決勝では優勝候補の一角だった八雲学園(東京)を74-48と大差で下した。坂本は試合を重ねるごとにドライブのアグレッシブさが増し、それにつられて1年生の江村優有も果敢に戦うように。伊森のかわりにスタメンに入った岡本も「『伊森さんがいないから弱い』と思わせたくない」と思い切りよくシュートを打つようになった。
「だんだんみんなの息が合っていくのが分かった。1人ひとりが成長した大会でした」と坂本。挑戦者から「女王」まで上り詰めたこの夏の経験は、10月の国体や12月のウインターカップに必ずや生きてくるはずだ。