全国高校総体(インターハイ)陸上の男子4×100メートルリレー決勝が8月4日に三重交通Gスポーツの杜伊勢陸上競技場で行われ、八王子(東京)が40秒10で初優勝を飾った。傑出した選手がいるわけではない。しかし、毎日欠かさなかったバトンパスの練習と予選から1本ずつ全力で挑んだ勝利を求める飽くなきメンタリティで、初の栄冠を勝ち取った。(文・小野哲史、写真・幡原裕治)

インターハイ陸上400メートルリレーで初優勝した八王子のアンカー一瀬

予選からアクセル全開

優勝を狙うチームは、予選、準決勝、決勝と徐々にタイムを上げていくのが一般的だが、八王子は2日の予選からアクセル全開だった。予選で全チーム中最速の40秒06を叩き出すと、3日の準決勝も40秒08でトップ通過。アンカーの一瀬輝星(3年)は「タイムは意識していませんでした。とにかく優勝だけを目標に掲げていました」と話す。

1走の小林枚也(3年)は、6月の南関東大会の100メートルで7位。個人でのインターハイ出場をあと一歩のところで逃しており、リレー種目にすべてを賭けていた。「順位だけでなく、2走に良い流れでバトンを渡して、うまく走ってもらえる形に持っていくのが自分の役割」と、重圧のかかる大役をしっかりこなした。

小林からバトンを受けた齋藤陸人(3年)は、「自分が何番にいるのかまったくわからなかった」という。ただ、「周りを気にせず、自分たちのレースをすることだけを考えました」と集中を切らさなかった。小林との受け渡しは「やや詰まってしまった」と話すが、流れを断ち切ることなく、バックストレートを軽快に駆け抜けた。

3走は唯一の1年生・上野弘貴。ルーキーではあるが、中学3年だった昨夏は全国中学校大会で100メートル4位、200メートル7位と、全国レベルの実績は他の3人以上と言える。「けがで走れなかった高橋哲也(2年)先輩から『落ち着いていつも通りやれば大丈夫。楽しんでこい』と言われたので、先輩に優勝を届けたかった」と、持ち前の加速力を発揮した。

インターハイ陸上400メートルリレーで初優勝した八王子。左から小林枚也、齋藤陸人、上野弘貴、一瀬輝星

毎日バトン練習を続けた自信

一瀬が上野からバトンを受けたとき、内側を走る東海大浦安(千葉)が先行していた。一瀬は懸命に猛追し、「追いつくのは難しいかもしれない」と感じたが、東海大浦安のアンカーが中盤で脚を負傷してまさかの失速。一瀬は四国学院大香川西とのアンカー対決を制して、チームメートと喜びを分かち合った。

ライバルのアクシデントにより思わぬ形で手にした優勝ではあるが、もちろんその価値が下がるはずもない。「バトンに関しては毎日練習してきたので自信がありました」と一瀬。今後については「日本選手権リレーに出場できると思うので、そこで39秒台を目指したいです」と語り、最高の仲間とともにさらなる高みを目指す。