全国高校総体(インターハイ)陸上の男子棒高跳び決勝が8月3日に三重交通Gスポーツの杜伊勢陸上競技場で行われ、出場全選手中で唯一、5メートル00を成功させた大崎洋介(兵庫・明石商3年)が初優勝を飾った。(文・小野哲史、写真・幡原裕治)

インターハイ男子棒高跳びで5メートル00を成功させて優勝した大崎洋介

「1回で成功」プラン通り

2日の予選を含め、今大会は「どの高さも1回で成功させること」をプランに掲げていた。「自分は1本目に失敗すると緊張してしまう」と、自身の弱点をよくわかっていたからだ。その言葉通り、大崎は予選で4メートル80を1回でクリアし、早々に決勝進出を決めると、決勝でもその戦い方をひたすらに貫いた。4メートル70をパスし、最初の試技となった4メートル80、4メートル90をいずれも1回で成功。まるで大崎だけが2回目、3回目の試技機会を与えられていないかのように、目の前の跳躍だけに神経を集中させた。

5メートル00にはチームメートの三戸田湧司(兵庫・明石商3年)ら4人が挑んだが、成功したのは大崎ただ一人。その5メートル00も見事に1回でクリアして見せた。「跳び方はきれいではありませんが、跳ぶことが大事だと先生からも言われていましたから、思い通りの試合運びができました。高校1年のときからずっとインターハイ優勝を目標に頑張ってきたので、その目標を達成できたことは素直にうれしいです」

インターハイ男子棒高跳びで、チームメートで1位、2位になった大崎洋介(左)と三戸田湧司

チームメートとワンツーフィニッシュ

昨年のインターハイは、4メートル70で予選落ち。その悔しさを胸に、「練習では走りや腕の筋力アップなど、基礎能力を上げることを意識してきました」と振り返る。最終的に2位に入った三戸田の存在も大きかった。

「ずっと一緒に練習していて、しんどいときも支え合える大切な存在。予選で三戸田はギリギリ拾われる形で決勝に進みましたが、決勝でワンツーフィニッシュを目標にしていたので、それができたこともよかったです」

仲間と切磋琢磨しながら、たどり着いた高校日本一。「目指していたのは近畿高校記録(5メートル30)を超えることだったので、優勝記録には納得していません」と話すが、ビッグタイトルを手にした自信は、大崎をさらに加速させることだろう。

「今後はU20日本選手権や国体など、難しいかもしれませんが、すべての大会で優勝を狙っていきたい。大学に行っても、どんどん上に成長し続ける選手になりたいです」