陸上の名門・市船橋(千葉)がインターハイに向けて調子を上げている。特に、女子は6月の南関東大会で主軸の3人が4種目を制し、学校対抗の初優勝も視野に入れる。1種目でも多く優勝者を出し、すべてのリレー種目でファイナル進出へ――。伝統校の誇りを胸に、思いを一つにした選手たちがそれぞれスタートラインに立つ。(文・写真 小野哲史)

南関東大会の女子400メートルリレーで3位に入った(左から)大熊、小林、景山、小松絵里香(2年)

景山が短距離南関東2冠

市船橋は男女合わせて15種目、27人の登録選手をインターハイに送り込む。昨年の10種目から1.5倍。短距離ブロック顧問の後藤彰英監督は、「かなり増えました。とくに男女リレーで4種目すべて行けるのが大きい」と、手ごたえを語る。

インターハイの出場権を懸けた6月の南関東大会では、女子短距離のエース景山咲穂(2年)が大活躍。100メートルと200メートルの2種目を制し、チームを勢いづけた。なかでも100メートルは向かい風2.7メートルという悪条件ながら12秒01の好タイムをマークし、「追い風だったら11秒7や8台は出せたかな。インターハイでは11秒6台に近いタイムを出して、入賞したい」と意気込む。最大の武器は「得意のスタートから勢いに乗っていく走り」。県大会後は「スタートの飛び出しと、後半に競ったときに勝ち切ることを強化してきた」という。その成果を重圧のかかる南関東大会でいかんなく発揮した。

女子100メートル障害では3人がインターハイ行きを決めた。女子主将の小林歩未(3年)は「大会直前に故障し、万全ではなかった」と言いながら、ただ一人、決勝までの3レース全てで13秒台をそろえて優勝した。増田絢菜と大熊楓(ともに2年)も3位と4位に続いた。前回のインターハイ6位の小林は、1週間後の日本選手権でも13秒47の自己新をマークするなど好調をアピールし、「今回のインターハイこそは優勝したい」と力強く語る。

 大熊は「本職」の七種競技で南関東を制し、次点に終わった前回の雪辱を晴らした。目標に掲げていた5000点には89点足らなかったものの、「100㍍障害、走り高跳び、走り幅跳びで得点を稼ぎたい」というプラン通りに戦えれば、全国でも上位進出の可能性は高い。

南関東大会の短距離2冠に輝いた景山咲穂(左)と、女子主将の小林歩未

男女リレーで決勝狙う

ただ、第1走者から大熊、小林、景山と並べ、期待の高かった女子400メートルリレーは、アンカーで逆転されて3位フィニッシュ。「バトンパスを丁寧に行う練習をしてきた」(小林)が、短距離ブロック顧問の後藤監督は「安全にいき過ぎて、アンカーまでに思うようなリードを奪えなかった」と分析する。課題を修正しつつ、本番でのリレーは男女の全4種目で決勝進出を狙う。

男子の個人種目も、昨年に続いてインターハイの切符をつかんだ中距離の安田博登(3年)や、三段跳びの斎藤優太(3年)ら実力者がそろった。男子主将・平野壮太(3年)を中心に団結力は固い。選手一人一人が持てる力を存分に発揮し、決戦の地・三重で市船橋の名をとどろかせるつもりだ。

チームデータ
 部員46人(3年生16人、2年生14人、1年生16人)。1986年全国高校駅伝優勝(男子)、96年インターハイ学校対抗優勝(男子)。中長距離の男子は太田真樹先生と中村康先生が、女子は高橋孝典先生が指導。