インターネットで誰もが不特定多数に向けて自由に発信できる「1億総メディア時代」。さまざまなメリットがある一方、ツイッターなどSNSである人物や企業の発言や行為に批判が集中する「炎上」も頻発している。ネット炎上の「被害」に遭わないためにはどうすればいいんだろう? 統計学の一種「計量経済学」を使って分析している山口真一先生に話を聞いた。(野口涼)

炎上しやすい話題を知っておこう

炎上の原因となるのは、日本では主に「反社会的行為の告白」や「何かを批判したり、人を不快にさせたりしたとき」です。また、「軍事・ジェンダー・格差・社会保障の話題」は炎上しやすいです。だからといって、それらについて発信すべきではないということではありませんが、「炎上しやすい話題である」ことは理解しておきましょう。

また、少なくとも現実の世界で言えないことは、ネットの世界でもオープンにしないほうがよいでしょう。例えば、悪ふざけをしたことがあるとして……、その写真を、先生を含めた全校生徒に見せたいと思う人はいないはずです。

ネットストーカーに注意

リアルで使わないような、汚い言葉遣いもNG。また、個人情報が特定できるような発信も控えましょう。特に女子生徒は「ネットストーカー」の被害に遭いやすいため、「最寄り駅が分かる書き込みや写真はアップしない」「自宅の窓から撮った写真をアップしない」などの注意が必要です。

「当たり前の道徳」こそ大切

全ての人がネットを通じて情報発信できるようになった今こそ、何より大切なのは「当たり前の道徳」です。「他人の価値観を認め、尊重しよう」と意識するだけで、炎上の「被害者」になることはもちろん、「加害者」になることも防ぐことができるでしょう。

 
山口真一先生
やまぐち・しんいち
2015年慶應義塾大学大学院経済学研究科で博士号(経済学)取得。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター助教を経て、16年より同講師。著書に『ネット炎上の研究』(勁草書房、税込み2376円)、『炎上とクチコミの経済学』(朝日新聞出版、税込み1512円)など。