自分の主張をしたい時、特に「NO」を相手に上手に伝えるにはどうしたらよいのだろう。国連の場での交渉や100カ国以上の人とコミュニケーションしてきた石川幸子さんに聞いた。(安永美穂)

Q. どうしても「NO」を伝えなければならない場面での、上手な伝え方は?

 

A. 共感できるポイントをまず探そう。

もちろん自分の意見を主張する必要はあるのですが、まずは相手の意見をよく聞くことが大切です。そして、どこか共感できるポイントを探しましょう。「この点については共感できます」と伝えることが、話し合いを円滑に進める突破口になります。

私も仕事で「NO」を主張しなければならない場面を数多く経験していますが、そんなときも「この問題について真剣に話し合おうとしている」という相手の姿勢に対する敬意は、はっきり言葉にして伝えることを心掛けてきました。反対だからといって、いきなり「否定」や「拒絶」から入ると、相手も自分の意見を通すために攻撃的にならざるを得なくなり、こちらの主張が受け入れられにくくなるので注意してください。

 
石川幸子さん
いしかわ・さちこ 独立行政法人国際協力機構(JICA)国際協力専門員。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)で難民支援に従事した後、笹川平和財団勤務を経て、JICAでASEAN地域の紛争解決や地域協力に取り組む。