姫路工業高校(兵庫)の機械研究部に所属する前田大樹君(機械科3年)は若年者ものづくり競技大会旋盤職種の近畿地区選考会で優勝し、7月下旬から開かれる全国大会への出場を決めた。目標は日本一だ。(文・写真 木和田志乃)

自作の部品を手に「作業がつらい時も目標があるから乗り越えられる」と話す前田君

ものづくりに夢中、部活でも

大会は、技能を習得中の20歳以下を対象に開催される。旋盤職種は制限時間の3時間以内にあらかじめ公表された図面通りに2つの部品を作る。寸法の正確さ、部品組み立て時の精度、出来栄えが評価される。

高校入学前から木工細工や自転車の装飾など、ものづくりに熱中していた前田君。運動部も考えていたというが「工業高校に入ったからには腕を磨きたい」と機械研究部に入部した。顧問の尾辻博先生から旋盤作業の基本を学び、旋盤技能検定やコンテストなどの課題に取り組んだ。

作業中は真剣そのもの。集中していると体が熱くなり、真冬でも窓を開けて作業する

試行錯誤の連続、毎日改善

「正確に作るためにどうすればいいのか自分で考える」という先生の方針や、部のモットー「基礎、工夫、こだわり、協力、気合(5K)」の下、疑問点はできるだけ自分で解決方法を探った。切削加工用の工具も作業しやすいように自作した。毎日ホワイトボードに改善点や工夫を書き、自分の課題を明確にしながら作業をすることで技術を習得した。

前田君によると「旋盤は難しいことばかり」という。作る手順を全て自分で考え、寸法の精度や見た目も追求する。思い通りに仕上がらないときは工具の刃を研ぎ直したり、材料の回転速度や工具の送り速度を変えるなど原因を考えて試行錯誤する。

気を抜くと表面がすぐに汚くなるなど、うまくいかないときも多い。だからこそ「思っているものが完成したときはうれしいし、上達していくことが分かる」とやりがいを感じる。「忍耐力や集中力も身に付いたと思う」と話す。さらに細部まで気を配って練習を積み、目標を達成するつもりだ。

将来は機械に触れる仕事に就き、旋盤作業で身に付けた「5K」を生かしていきたいと考えている。