部員がヒーロー戦隊に扮(ふん)して地元の子どもたちに向けた「ヒーローショー」を定期的に行う飯田OIDE長姫高校(長野)コンピュータ制御部。戦隊のマスクや衣装、使用する武器は、授業で培った専門技術を生かした部員の手作りだ。(中田宗孝)

本格的な演出に、観客から驚きの声が上がるという(写真は学校提供)

きっかけは課題研究

コンピュータ制御部によるヒーローショーは約40分。地球環境の破壊をもくろむ悪に立ち向かう正義のヒーロー「高校戦隊テックレンジャー」が活躍する内容だ。

悪の攻撃によりピンチに追い込まれるテックレンジャーだが、観客の子どもたちの大声援でパワー全開。必殺武器テックバズーカを発射して悪を倒し、今日も彼らの活躍で地球の平和が守られたのであった――。

活動が始まったのは2010年。顧問の西村武久先生が、前身の飯田工業高校の電子機械科3年生に、課題研究として繊維強化プラスチック(FRP)マスク製作に取り組ませたのがきっかけ。完成したヒーローマスクを生徒がかぶり、全校課題研究発表会でヒーローショーを開催。「Technical(工業の)」にちなんで命名された「テックレンジャー」が誕生した。翌年から活動がコンピュータ制御部に引き継がれ、歴代部員が大きな剣、煙に見立てた小麦粉が飛び出すバズーカなどの特殊な小道具を次々製作した。

ショーを終えた部員は、観客の子どもたちと握手や撮影会で交流する

地元イベントや幼稚園で披露

自治体主催のイベントやお祭り、幼稚園などで年約20回のヒーローショーを披露している。週5日、約2週間の練習で本番に向けたショーの完成度を高める。「各自のアクション演技や、ナレーションに合わせた動きをそろえられるかを部員同士で確認し合います」(部長の東谷純汰君・3年)。入部以来、悪役を演じ続けている東谷君は「観客を怖がらせる良い動きはないかと日々考えてます。本番では、観客の目の前まで歩み寄って悪者らしく立ち回るんです」と笑う。

夏場はヒーローショーを休み、CMコンテストに出品するための動画制作や、地域のごみ拾いなどを行っている。

今年は女子戦隊結成

現在、部員は11人。女子部員が多く、3月から「高校戦隊テックレンジャーガールズ」の活動が本格化。色分けされた5人組のヒーロー戦隊が全員女子となる初の試みだ。女児向けアニメ「プリキュア」シリーズを参考に、かわいらしい動きする新しいヒーロー像を打ち出していく。「登場のポージングをかわいいしぐさにしたり、敵を倒したら小さくガッツポーズしたり。戦いに華麗な『舞』の動きを取り入れた女子部員もいます」(東谷君)