全国の国立大学でつくる国立大学協会は6月12日、現在の高校1年生が受ける2021年度入試からの英語の民間試験の選抜への活用方法の「参考例」をまとめた。個別試験の出願資格にしたり、民間試験の成績に応じて加点したりすることを各大学に求めているが、出願に必要な水準や配点の方法は各大学の判断に任せた。
国立大学は民間試験活用の指針まとめる
文部科学省が進める大学入試改革では、高校3年生の4~12月に、大学入試センターが認定する英語4技能(読む・書く・聞く・話す)全てを測る民間資格・検定試験を受けてもらい、結果をセンターが取りまとめて各大学に提供する仕組みをつくることが決まっている。センターでは、今年3月に「英検」「GTEC」など7事業者の8種類の試験の認定を決めた。
国立大学協会は、英語民間試験の活用について82の国立大学がある程度統一した対応をとることを目指して3月末にガイドラインを作成したのに加え、今回、求める水準や配点など、具体的な活用方法の「参考例」をまとめた。
活用の方法を3パターン示す
それらによると、民間認定試験と、センター試験にかわって始まる大学入学共通テストの英語の試験の両方を入試に活用するとしたうえで、民間試験の活用方法を3パターン示した。なお、個別試験の英語の配点などは、これとは別に各大学が定めるのが前提だ。
(1)一定水準以上の認定民間試験の結果を個別試験などの出願資格とする。具体的には各大学・学部の方針により、語学力の国際的な規格CEFR(A1・A2・B1・B2・C1・C2の順に能力が高くなる6段階)のうちの一定水準(例えばA2以上)を示す。
(2)認定民間試験の結果をCEFRによる段階別評価に基づいて点数化し、大学入学共通テストの英語の点数に加える。認定試験の分の配点は、英語4技能学習の動機付けになるような比重(例えば認定試験と共通テストの合計点の2割以上)とする。
(3)認定民間試験を個別試験などの出願資格(例えばA2以上)としたうえで、出願資格を超える水準の場合、共通テストの点数に加点する。
「ウエート高くしないで」高校の要望にも配慮
「A2以上」「配点の2割以上」といった「例」を示したのがポイントだ。A2は、英検準2級程度とされる。ただ、国立大学協会入試委員会の岡正朗委員長(山口大学長)によると、高校側から「導入時に民間試験のウエートを高くしないでほしい」といった要望が寄せられたといい、受験生への影響と4技能学習のバランスを考え、例を「2割以上」とした。一方、各大学からは「(一律に基準を決めずに)各大学・学部の独自性を担保してほしい」という意見が多かったという。そのため、各大学が「例」にとらわれずに判断できる余地を残した。
各大学は今年夏にも方針を予告
このため、国立大学の対応は、「例」に則った出願資格や配点にする大学と、独自に判断する大学に分かれそうだ。各大学は今年夏から今年度末までに21年度入試の予告を公開する見通しだ。