セクハラやパワハラが社会問題になっている。弁護士の長瀬恵利子さんに、セクハラやパワハラをするとどんな罪になるのか聞いた。(山口佳子)

――ハラスメントをしたら、どんな罪になるのですか?

最近、ある政治家が「セクハラ罪はない」と言ってニュースになりましたが、確かに、刑事上で問える罪はありません。ただし民事上では、被害者が受けた不法行為を訴えることで、加害者に損害賠償を請求することができます。私たちが弁護士として携わるのは、会社の上司と部下の間でのセクハラやパワハラといった労働関係の案件が多いです。ハラスメントの加害者を懲戒処分の対象としている会社も少なくありません。

――損害賠償請求は認められることが多いのですか?

当事者間の問題なので、ハラスメントが実際にあったかなかったかを裁判で証明することが難しいのが現状です。いつどこでどのようなことを言われたのか、相手にきちんと嫌だという意思を伝えたのかなどを証明することが求められることが多いです。嫌だと伝えられないからこそハラスメントが起きるのにと、歯がゆい思いをすることもあります。

 
弁護士 長瀬恵利子さん
ながせ・えりこ 東京弁護士会所属。離婚、遺言・相続、労働問題などに詳しい。都内の中学・高校で、ハラスメントに関する講演を行っている。