昨冬の全国高校バスケットボール選手権(ウインターカップ)で、1試合最多得点の大会新記録を樹立した奥山理々嘉(東京・八雲学園3年)。今年4月、日本代表候補に初選出され、さらなる飛躍が期待される奥山のこれまでの歩みと高校ラストシーズンへの思いを聞いた。 (文・青木美帆、写真・幡原裕治)

「いつかは」憧れが現実に

ウインターカップで、女子1試合最多得点が更新されたのは28年ぶり。これまでの記録(加藤貴子(富岡・1989年)、長岡萌映子(札幌山の手・2011年)、51得点)を10点以上上回る62得点という圧倒的な数字だ。「(2011年の)試合のビデオを見て『いつかはこれくらい点が取れる選手になりたい』と思っていました。でも……うれしくないって言ったらおかしいけれど、自分一人で取ったわけじゃない。パスを出してくれる人、ディフェンスを頑張ってくれる人がいたから取れました」

1年生のころからチームのエースを務めてきた。仲間は奥山に得点を取らせるためのプレーを選択し、奥山はそれに応えてシュートを打つ。独り善がりに攻めたわけではない。エースという役割に徹した結果の「62点」だった。

「もっと頑張れる」

中学3年生の時にU16日本代表候補に選出されて以来、常に世代のトップランナーだ。178センチの長身を誇りながら自在に走り、動き、シュートを決められる。「利き手でない左手も右手と同じように使えるのは、他の人にはあまりない強みかもしれません」

華々しい活躍の陰で、悔しい経験も。唯一の高校1年生として参加したU17世界選手権で、初めて出場できない日が続いた。「何で出られないんだろう。何でこんなに悔しいんだろう」。ホテルで1人、泣いた。

それでも決して諦めず、自分の課題を毎日ノートに洗い出し、練習で改善。その努力が実ったのか、ラスト3試合で出場機会を手に入れ、力を発揮できた。「自分の底を知り『あの時の方が苦しかった。だからもっと頑張れる』と思えるようになりました」

目指すは日本一

現在はU18日本代表とフル代表も掛け持ちする忙しい日々を送るが、高校生活の集大成には当然、格別の思いを持っている。昨年のウインターカップはベスト4。「(今年は)日本一になって、高校3年間でお世話になった方々に絶対、恩返ししたいです」

青木美帆撮影
おくやま・りりか  2000年4月6日生まれ、北海道出身。バスケ経験者の両親のもと、兄の影響で小学3年生からバスケを始める。代表活動などに伴い、昨年から神奈川・横須賀市の実家を離れ、バスケ部の高木優子監督の自宅に下宿中。178センチ、65キロ。

Q&A 休日にケーキ作り

Q. オフの過ごし方は?

A. 休日で練習が午前中しかないときは、試合の映像を見てノートを書いたり、寝たりすることが多いです。出歩くのがあまり好きではないので……。ケーキを焼いたりすることもあります。

Q. 好きな食べ物は?

A. 甘い物はなんでも好きです!コンディションも考えて、疲れているときにご褒美としてアイスやチョコレートを少し。クラスメートがパンケーキなどのおいしいお店に行ったと話していると「私も連れて行って~!」って思います(笑)。

Q. 好きな教科は?

A. 家庭科と英語かな。家庭科の調理実習では、ステーキとかホールケーキを作るんです。英語は将来のことも考えて、中学時代から頑張っています。先日、U18のアメリカ遠征に行った時に、現地の人と少しコミュニケーションがとれて自信になりました。