地震対策マニュアルを作った成田国際高校の4人(3月24日、関西学院大学で開かれたSGH甲子園)

成田国際高校(千葉)の生徒4人が、国から指定を受けたスーパーグローバルハイスクール(SGH)の課題研究として、外国人観光客向けの地震対策マニュアルを作った。(文・写真 野村麻里子)

観光客、大地震知らず

相原玲奈さん、井上朋伽さん、小島早智さん、垣脇麻優子さん(いずれも3年)は、1年次に東京・浅草でフィールドワークを行った。外国人観光客に話を聞くと、日本の難点として「地震などの災害が多い」と指摘する人がいた。外国人観光客向けの地震対策に興味を持ち、成田国際空港にも出向いて、外国人に「大きな地震を経験したことがあるか」「避難訓練はやったことがあるか」と質問すると、いずれも「NO」と答える人が大半だった。

マニュアルに工夫凝らし

4人は、地元の成田市を訪れる外国人観光客に地震対策を伝えるマニュアル作りを思いつく。モットーは実際に足を運んで話を聞きに行くこと。日本在住の外国人向けの地図を作っている大学でデザインについて学んだり、消防士に協力を仰ぎ地域防災の情報を集めたり、成田市役所主催の講座に参加したりして、防災や災害の知識を蓄えた。

日本語、英語、中国語の3種類のマニュアルを作成。パスポートと共に保管できる手のひらサイズにし、危険をイメージさせる赤を基調とした。頭を守る、窓や高い塀の下といった危険な場所を避ける、避難所に向かうなど避難時の行動を記して、裏面には外国人観光客が多い成田山の参道周辺の避難所や市役所などの場所を示す地図を載せた。表紙には各言語で「あ、地震だ。」と書いた。「堅苦しくなく、身近に感じてもらえるように話し言葉を表紙にしました」(相原さん)

マニュアルを姉妹校からの留学生に見せたところ「シンプルで分かりやすい」と声が上がった。このマニュアルを普及させるのが今後の課題。「参道の店に置いてもらう」「店の人にマニュアルを見せたら割引になる特典がつく」など、アイデアを出し合っている。

パスポートと共に持ち運んでもらうことを想定し、手のひらサイズにした