全員で走る「ひたむきなバスケットボール」で、全国大会に32 回の出場を果たしている市船橋(千葉)男子バスケットボール部。部員が練習に飽きないよう、豊富なメニューを用意して日々の練習に取り組んでいる。 ( 文・写真 斉藤健仁)

 

基本プレーを大切にする部は、毎日さまざまな練習メニューをこなしている。注目すべきは、練習メニューが豊富なことだ。

例えば、体を鍛えるトレーニングでは、バランスジャンプや7種のストレッチなどに日替わりで取り組む。取材日はチューブトレーニングで体幹を鍛えていた。

ドリブルの練習メニューも豊富だ。「左手のみ」「右手のみ」「片手でボールを抱えながら」「ジグザグ」「回転」などのバリエーションがある。年間を通して、全員がハンドリングの練習を欠かさない。センターの山本健太(3年)=東京・大森三中出身=は「(ドリブルを入れて)外からのシュートも打てるようになってきた」と、その効果を語る。

最も時間を割くのは、速攻の練習。2対1、3対2、4対3など攻撃側の人数を多くし、攻撃側には「自陣でドリブルをしてはいけない」「パスのみでつないでいく」などの条件を加える。入部間もないガードの平良彰吾(1年)=千葉・船橋中出身=は「攻撃時の判断力に磨きがかかっていると実感できる。中学の時よりも動けるようになった」と話す。

3年前からは、練習中に脳をトレーニングするパズルを解いている。ランダムに並んだ1から50の数字を順番に消していくものや、ナンプレだ。近藤義行監督(45)が「試合中の周辺視野を広くするし、バスケットボールは数字に強い方が有利」と選手に始めさせた。この日一番早く問題を解いた高澤淳(3年)=千葉・宮本中出身=は「周りが見えるようになって、プレーの幅が広がった」と語る。

8月の全国高校総体(インターハイ)では上位進出を狙う。最大の目標は全国高校選抜(ウインターカップ)の初制覇だ。

 
 

選手が毎日集中して練習に取り組めるように、メニューに幅を持たせています。ドリブルの練習時にハンドリングの練習を欠かさないのは、全員が左右同じようにできてほしいから。大きい選手でも将来ガードをやることもあるでしょう。

部のモットーは「心を籠こ めて」です。練習ではとにかく必死でボールを追い、ディフェンスをするチームになろうと話しています。勉強もあいさつも、心を込めてやりなさいと指導しています。

マネジャーがいないのは、いれば選手が頼ってしまうからです。掃除も洗濯も自分たちでやります。社会に出てから役立つように、バスケットボールを通じてバランスの取れた人間に成長してもらいたい。

うちにはレギュラー以外にも「1分隊」という選手たちが存在します。ディフェンスで相手にプレッシャーを与えるためだけに、1分間だけ公式戦のコートに立つのです。彼らはたった1分ですが、チームのために全力を尽くします。勝つことも大切ですが、そういう選手がいることも忘れないでほしい。

年に数回ですが、コートもベンチも応援席も一体となって試合ができる時があります。うれしい気持ちでいっぱいになりますね。