日本は噴火の可能性がある活火山が111もある「火山大国」だ。火山の監視・観測態勢はどうなっているのだろうか。群馬と長野県境にある草津白根山の本白根山が噴火したことであらためて注目されている。

 

噴火した本白根山 休止状態のはずが…

1月の本白根山の噴火で、1人が死亡し11人が重軽傷を負った。草津白根山は、白根山や本白根山など複数の山で構成されている。1983年に噴火した白根山側には観測網があったが、今回噴火した本白根山は1千年以上活動がなく、休止状態とみられていた。

気象庁や東京工業大は草津白根山に地震計や監視カメラを設置し、24時間態勢で火山活動を監視・観測していた。しかし、監視カメラは白根山の方を向いており、今回噴火した本白根山はほとんど観測されておらず「ノーマークに近かった」とされる。

気象庁は「事前に活動の活発化を示す兆候はなかった」と説明。また火山地質学の専門家は、本白根山は表面上では非常に穏やかな状態が続いていたため観測対象にはなりにくく、予知や予測は難しいと分析している。

気象庁、常時観測広げる 速報対象も拡大

気象庁は全国111の活火山のうち、近年も活動がみられる浅間山や桜島など50カ所を「常時観測火山」として、大学などの研究機関と協力し地震計や傾斜計、監視カメラなどを設置。観測データを24時間監視し、登山客らに近づかないよう促す噴火速報の対象にしている。本白根山の噴火を受けて、新たに無人島や海底火山を除く34の火山にも対象を広げる。

過去の噴火や現在の活動状況を確認、検知できない可能性があるエリアも点検した上で、監視カメラの設置など必要な観測態勢を見直す。本白根山は、明白な前兆現象は観測されておらず、予知が難しい水蒸気噴火とみられている。このため、観測データがない火山でも、自治体や研究機関からの情報で速報を発表できるような態勢を構築する方針だ。