7~8月に開催された国際科学オリンピックの6分野(数学、化学、生物学、物理、情報、地理)で、日本代表として出場した高校生26人全員がメダルを獲得する快挙を果たした。国際地理オリンピックは英語で試験が実施される。言葉の壁を克服し、見事銀メダルに輝いた菊池裕太君に、大会への準備や、現地で感じたことを聞いた。(文・山口佳子、写真・幡原裕治)
――国際地理オリンピックを目指したきっかけは?
「幼い頃から父にいろいろな場所に連れて行ってもらって旅行が好きだったので、その土地の特徴を学べる地理に興味がありました。また、仲の良い同級生が、国際数学オリンピックや国際生物学オリンピックに挑戦し日本代表として決まっていたのも刺激になりました」
――国際地理オリンピックの準備で大変だったことは?
「1次予選から選抜までの期間が短いので、1次通過後の勉強期間が短くて苦労しました。その間は、地理しか勉強しない!と割り切って、代表選抜に臨みました。一番大変だったのは英語です。地理の問題は『フィールドワークテスト』と言って、その土地の景観から特徴をつかみ、その土地をどのように活用していったらいいか、自分の考えを求められます。しかも、英語でまとめなくてはいけません。英語が嫌いになりそうになったり、くじけそうになったりしたけれど、『英語が母国語でない国の高校生は僕と同じ苦労をしているのだ』と気づいた時、頑張ろうと思えました」
――これまでどんな高校生活でしたか?
「卓球部に所属していました。部活を引退してから国際地理オリンピックに挑戦したので、部活との両立という面では全然問題なかったです。『フィールドワークテスト』は体力が必要なので、その点では役に立ったと思います。部活動だけでなく、学校生活も満喫しました。男子校なので、文化祭の劇では僕がヒロインを演じました。僕の相手役のヒーローを演じた友人も、別の分野で国際科学オリンピックの日本代表です」
――世界の高校生と交流してどうでしたか?
「卓球が好きだったり、同じ食べ物が好きだったりと共通項の多いカザフスタンの高校生と仲良くなりました。住む環境や国が違っても、人と直接会ってコミュニケーションをとることの大切さを実感しました」
――これからの夢は?
「国際地理オリンピックのフィールドワークを経験して、現地に赴くことの大切さ、外に出て動き回ることの大切さを実感しました。近いうちにアフリカに行きたいと思っています。全大陸を巡ることも夢です。そして大学では、法と教育を学びたいと思っています。特に、防災教育に興味があります。地理の知識も活かせたら良いですね」