演劇やミュージカルを中心に多方面で活躍する女優の広村美つ美さんは、大分県の工業高校の出身。建築科で学び、ものづくりの楽しさを追求した。高校時代の同級生は、今でも近況を報告し合う大切な仲間だ。 (文・中田宗孝、写真・幡原裕治)

 

 

大人になったら自分の手でマイホームを建てたい! そんな私の幼いころからの夢を知っていた両親が「工業高校に行ってみたら?」と背中を押してくれて、工業高校の建築科への進学を決めました。とはいえ、男子生徒に比べて女子生徒の数がとても少ないので、ちょっと不安でした。実際に入学してみると男女関係なく仲良くなって、専門的な建築技術が求められる授業では、みんなで協力し合いながら3年間を乗り切りました。

鉄の溶接、3階建て校舎への足場の組み立て、油圧ショベルを動かす作業、といった建築科ならではの授業が、やっぱり思い出に残っています。その中でも、公園にあるような2、3人掛けのベンチ製作が特に印象深いですね。自分の好みで選んだ木材を電動かんなで削り、くいを打って……完成まで約1カ月。大変でしたけど、自分一人でゼロから納得のいくベンチを作り上げることができてうれしかったです。

工業高校で頑張る現役高校生には「仲間たちと学校生活を思いきり楽しんで」と伝えたい。専門性の高い授業で分からない部分を教え合ったり、けがをする可能性のある実習で助け合ったり。仲間たちとの絆を深め、充実した日々を過ごしてください。私は今、芸能界での仕事に取り組んでいますが、マイホーム建築への思いは、ずっと心の中にあるんですよ!

仕事の合間に、どんな家にしよう、内装はどうしようとか実現に向けていろいろ妄想しています(笑)。

(高校生新聞 2013年6月 工業高校特集号から)