新年に、「今年こそ!」と勉強や部活の目標を立てた人は多いはず。ただ、その目標実現のために努力し続けられる人はそれほど多くないだろう。目標達成のプロ、大平信孝さんに、挫折しない目標の立て方と目標を達成するコツについて聞いた。 (青木美帆)

 
大平信孝(おおひら・のぶたか)
目標実現の専門家。日本大学馬術部を全国優勝に導いた他、経営者、オリンピック選手ら7800人以上のサポート・研修などを行ってきた。
 
 

「ぶっ飛んだ」目標を

――年始に立てた目標、もう挫折したという人がいます。原因は?

第一に目標自体が楽しくないから。「親や先生が言うから」「友達がやっているから」と立てた目標は、楽しくないんです。人間は感情で動く生き物。だから、苦しいだけだと、なかなか続きません。「心底実現したい!」と思える目標かが鍵です。あなたにとって、何が大事で、どうなりたくて立てた目標なのか。「ワクワクするか」「心底実現したい!」目標かをもう一度チェックしてみましょう。

――立て方のコツは。

楽しくなる「ぶっ飛んだ」目標にしましょう。努力しなくても達成できそうな無難な目標ではワクワクしません。「ぶっ飛んだ」目標をたてるのに、お金も他人からの許可も必要ありません。
 「どうせ無理」「ばかにされるかも」と思ってしまったら、もったいないです。現状の制約は一度脇に置き、「こんなことをやってみたいな」「あんなふうになりたいな」と、明るい未来をイメージしてみるのです。

――挫折するほかの理由は?

「あれもこれも」と欲張り過ぎているのかも。日々の勉強、部活に加えて、塾や友人付き合いなど、高校生は忙しい。それら全てで目標を立て、うまくやろうとすると疲れ切ってしまいます。まずは、目標を3つに絞ってみるのもお勧めです。

たった10秒なら続く

――適切に目標が立てられても、続かない人がいるのでは。

10秒でできる小さな行動「10秒アクション」から、はじめてみましょう。実は、私も東京マラソンを完走するために立てた「週3回走る」という目標に挫折したことがありました。そこで、10秒アクションとして、「週3回ジョギングシューズを履く」という簡単な行動からはじめることに決めました。ささいな行動ですが、靴を履いてすぐに脱ごうとは思わない(笑)。靴を履くと、「玄関を出てみよう」「散歩してみよう」「走ってみう」と思えるようになりました。結果的に、習慣化でき、初フルマラソンながら、完走できました。
 「合格する」という目標を立てたら「勉強机で英語の参考書を開く」といった10秒アクションを設定してみてはいかがでしょうか。目標は情熱的で限りなく高い「ぶっ飛んだ目標」を、そして行動は今すぐできる「10秒アクション」から。2つのバランスがいいと、目標をどんどん達成できるようになります。

――10秒アクションをしても、その先の行動につながらないときはどうすれば。

違う10秒アクションを探してみましょう。「机で英語の参考書を開く」アクションが機能しないなら、図書館で参考書を開いてみる、スマホで英語の音声を再生する、電車乗ったら単語集を開く、など。柔軟に自分にフィットした10秒アクションを探してみてください。

 

毎日ノートをつけよう

――目標達成に向けてモチベーションを維持する秘訣(ひけつ)はありますか?

毎日ノートに書くことをお勧めします。1ぺージを4分割し、左上に昨日一日で良かったことや楽しかったことを3つ書きます。「ランチがおいしかった」とか「映画が面白かった」などでOK。続いて右上にその3つを眺めてみて気付いたことや感じたことを書きましょう。左下には「今日一日、本当はどうしたいか?」思いついたことを箇条書き。最後に右下のスペースにそれぞれを実行するための10秒アクションを書きます。全部書くのは大変という人も、左上と右上を書くだけでも効果はあります。
 人は、できなかったことばかりに注目すると自己評価が低くなりがち。「できたこと、良かったこと」を書いて振り返ることで自己肯定感もアップします。自分が思っているよりも実際は行動できていることの多さに驚く人もいるでしょう。

 
「先延ばしは1冊のノートでなくなる」
 
(大和書房、税抜き1300円)
ぶっ飛んだ目標を書き、10秒アクションを作るだけ。本文で少しだけ紹介した、大平さんが提唱する「行動イノベーションノート」の書き方を詳細に解説した書籍。高校生でも勉強や部活にしっかり応用できる。