12月23日から29日にかけて、東京体育館(東京)で開催された全国高校バスケットボール選手権(ウインターカップ)。女子は大阪桐蔭(大阪)の優勝で幕を閉じた。激戦が繰り広げられたこの大会で、とりわけ輝いた選手たちを5人紹介する。(文・青木美帆、写真・幡原裕治)

竹原レイラ ゴール下での技術とステップで自在に得点

竹原レイラ(たけはら・れいら=大阪桐蔭3年)

バスケットボールを本格的に始めたのは中学3年生から。しかし、185センチの長身と体の強さで早くから注目されてきた大器が、高校最後の大会で大きく花開いた。決勝こそ思うように活躍できなかったものの、その他4試合の平均得点は29.2点。インターハイ後から磨いた、ゴール下でボールをもらう技術とステップで自在に得点し、特に、永井雅彦アシスタントコーチから伝授された「ベビーフック」のシュートは誰にも止められなかった。年明けには三菱電機と選手契約。東京五輪に向けてまだまだ伸びしろのある逸材は、高校生のうちから新しい挑戦に歩み出した。

竹原レイラ(大阪桐蔭3年)

鈴木妃乃 決勝で魅せた強気のシュート

鈴木妃乃(すずき・ひな=大阪桐蔭3年)

再延長におよんだ安城学園との決勝は、歴史に残る一戦となるだろう。その熱戦で、鮮烈な印象を残したのがガードの鈴木だった。両チームで唯一50分間コートに立ち続け、ここぞというところで3ポイントシュートやドライブで得点。準決勝までそれほど3ポイントを打つ機会はなかったが、この試合ではなんと8本イン。インターハイで得た「出だしで絶対に点差をつけられない」という教訓を存分に生かし、序盤から積極的に、ふてぶてしいまでの強気さでシュートを打ち、パスを送った。エースの竹原が活躍できない苦しい状況の中、「最後まであきらめずに5人で戦えてよかった」と笑顔を見せた。

鈴木妃乃(すずき・ひな=大阪桐蔭3年)

 

野口さくら 司令塔もこなせる大型選手

野口さくら(のぐち・さくら=愛知・安城学園2年)

優勝候補筆頭の岐阜女子を準々決勝で破り、初のウインターカップ決勝に進んだ安城学園。野口は182センチというチーム屈指の上背を持ちながら、抜群のボールハンドリング力とシュート力を備え、ゴール下だけでなくアウトサイドでも活躍できるプレーヤーだ。決勝でも司令塔としてゲームをコントロールする時間も見られ、その能力と将来性の高さで多くの関係者を驚かせた。2点差を追いかけたラスト6.7秒のオフェンスでミスを犯し、試合後は泣き崩れたが、この経験を糧にしてさらに大きな成長を遂げてほしい。

野口さくら(愛知・安城学園2年)

山本麻衣 不動のポイントガード

山本麻衣(やまもと・まい=愛知・桜花学園3年)

3年間で出場した9つの全国大会のうち、決勝の舞台に立つこと実に6回。名門・桜花学園で1年時から不動のポイントガードをつとめ、大一番の喜びと恐ろしさを誰よりも経験してきた。昨年のウインターカップ優勝後の記者会見で、山本は「来年は点差を離して勝つ」と宣言したが、180センチ超の大型選手がいない今年度のチームは大型センターを擁する相手に非常に苦しみ、準決勝の大阪桐蔭戦ではまさかの大敗。しかし、卓越したボールハンドリング力と戦術眼で試合をコントロールし、自らも積極的に得点を奪い続ける姿勢を崩すことなく5試合を気丈に戦い抜いた。

山本麻衣(愛知・桜花学園3年)

 

奥山理々嘉 1試合の最多得点記録を達成

奥山理々嘉(おくやま・りりか=東京・八雲学園2年)

3回戦の徳山商工戦で62得点を挙げ、1試合最多得点記録を6年ぶりに塗り替えた。得点ランキングは2位に83点差をつけての断トツの1位。さらにリバウンド(2位と25本差)、フリースロー成功数、ブロックショットでもトップに立ち、圧倒的な力を大舞台で披露した。準決勝の安城学園戦は42得点を稼いだものの、5点差で敗北。試合後は涙を流しながら「自分が決めたいという気持ちが前に出すぎてしまった。冷静になることが課題です」とコメントした。目標とする東京五輪に向けて、最終学年となる来年度の成長が楽しみな存在だ。

奥山理々嘉(八雲学園2年)