兵庫・神戸市立科学技術高校の機械工作部ROBOは、バック宙するロボットの開発に成功した。昨年4月から4カ月かけて部長の田中晴久君(3年)が作った。切削やねじを切る作業は、他の部員に手伝ってもらったという。
バック宙するロボットを動画でチェック
同部は、児童館や小学校でロボットの体験教室などのボランティア活動を行ってきた。子どもたちに見せようと、開発を始めたという。田中君は「脚力とスピードを得るためにモーターだけでなく、膝にキックばねを搭載しました。そこにたどり着くまで何度も失敗しました」と振り返る。
今後は安定性やジャンプ力の向上を図りたいという。ほかにもさまざまなアイデアロボットを製作しており、現在、体育館などにパイプ椅子を並べるロボットを製作中だ。
インタビュー 田中君に製作秘話を聞きました
――バク宙ロボットの製作費は?
製作費は、約50万円です。主には、部活動の予算で賄い、細かい部品等は自分で購入しました。
――誰に指導してもらったの?
入部した1年生のころから先輩方に技術を学び、その技術とOBの先輩方からもアドバイスをいただきました。
完成まで試行錯誤繰り返し
――どこにこだわったの?
このロボットは、何事においてもバランスが重要。そのために、特に足を設計の段階から、ねじれやがたつきがなくなるようにして、ネジの種類や長さもぴったりと合わさるものを選定しました。
また、脚力とスピードを得るためにモーターだけではなく、膝にキックバネを搭載しています。このばねを選定するために何度も試行錯誤を繰り返しました。強すぎるとモーターに逆に負荷になってしまったり、弱すぎて意味をなさなかったりと何度も失敗しました。
ジャンプをした後に回転をするための重心移動に苦労しました。試行錯誤した結果、腕に重りを積むことで勢いをつけて飛ぶことができるようになりました。しかし、次に着地の問題が起こり、腕の振り方を少し変えるだけで大きく動きが変わりうまく着地をさせるまでに時間をかけました。
――試行錯誤しながら作ったのですね。
実はこのロボットは、はじめは人のように走るロボットとして製作していました。しかし、思うようなスピードで走ることができず、脚力を生かしてほかの動きはできないかと顧問の先生と話し合い、今の形になりました。
意見のぶつけ合いで成長できた
――これまでにも、機械工作部ではいろいろなアイデアロボットを作っていますね。
ごみ箱ロボットやくわがたロボットなど、さまざまなロボットを開発してきました。(編集部注=記事はこちらから)
作るためには、最初にやはり「アイデア」を出さなければなりません。しかし、経験などがまだまだ浅い私たち高校生にとって、この工程がとても難しく、顧問の先生と部員全員で時間をかけてアイデアを出し合いました。そこで、お互いに意見をぶつけ合い、一つのことに全員で悩んで取り組むということが、お互いを知ることにもなりチームとして成長することができました。
――ロボット作りで成長できたんですね。
部活のテーマに「人づくり」を掲げています。自分の人間性が豊かでなければ良いアイデアも良いロボットは生まれません。ロボット製作を通じて、ただ作るだけでなく多くの人と触れ合うことで自分自身を成長させることができたことが、ロボット作りの一番の魅力だと思っています。
- 【部活DATA】
- 2009年に同好会発足。13年4月に部に昇格。部員26人(3年生7人、2年生10人、1年生9人。週7日活動(平日は放課後19時まで土日は朝10時から19時まで)。部のモットーは「ものづくりの前に人づくり」。