登山はレジャーと思われがちだが、部活動は趣が異なる。大会では、体力や知力、行動力も問われる。全国高校総体(インターハイ)などで実績を残す千葉東(千葉)山岳部の安藤岳と丸山晏奈(ともに2年、部長)に、登山競技は何をするのか聞いた。(文・写真 茂野聡士)
膝に手をついていたら減点
――登山競技とは何を競うんですか?
安藤 インターハイは3泊4日で行われて、4人1組で行動します。体力、天気図の描き方や読図、山岳の行程計画書、装備などさまざまな項目がチェックされて、点数を競う競技となんです。
――体力はどう評価されるのでしょうか?
丸山 例えば、登山中の1人ずつの間隔が2メートル以上空いていたら減点です。膝に手をついて苦しそうに登っていると「無理して登山しているのかな」と判断されます。雨が降ると足場の悪い状況となり、滑りやすい場所では特に気を付けて歩行するようにします。
安藤 体力に自信がある選手がいたら、他の選手よりも重めの装備を背負うことも。1人につき重量は15キロというのが目安なんですけど、体力ある人がいたら1人で20キロ持って、残りの3人で残りの40キロを分けてもいい。インターハイの場合は装備の重さの規定がないので、装備の割り振り方で決めています。
天気図を描いて練習
――天気図でも競うのですね。
安藤 はい。そのため、千葉東では全員が天気図を1日1枚描くようにしているんですよ。1年生のうちから必ず描いて天気図を描く力を備えるんです。
丸山 まずは天気図記号を覚えていって、山の描き方、等圧線の描き方などを先輩方に教えていただきました。
安藤 天気図を見ることで今の天気の理由を解析したり、今後の天気予測をしたりすることもあります。
テントの設営も審査の対象
――大会中はどこに泊まるんですか?
安藤 屋外泊します。その際のテントの設営なども審査の対象になります。まず10分間で設営できるかという制限時間があって、その中でザックがきれいに配置されているかなどが採点されます。
丸山 固定用ペグ(くい)がちゃんと刺さっているかもあります。テント自体が不安定だと減点対象になるので、ぐらつかないように角度を注意しながら、石をよけます。
ティラミス、アップルビスコッティ…創作料理に挑戦
――登山中の食事はどうするんですか?
丸山 基本的には自分たちが作りますし、メニューも考案します。
安藤 お米を必ず焚くようにしますし、カロリー計算もしますし、炊事の練習自体もあります。大会では、提出する計画書とメニューが合致しているか、食材があるかを判断されます。大会中は食事が数少ない楽しみですね。
丸山 ちなみに女子は最近、創作料理に凝っているんです。ティラミスやアップルビスコッティなどを作りました。普段の練習では楽しく登山をしようと、材料を持っていて山で作ることにチャレンジしています。競技だとごみを極力出さないようにカレーライスや炒め物の料理でつくっています。