10月に行われた全国高校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ)埼玉県予選を制し、6年連続の全国出場を決めた正智深谷(埼玉)男子バスケットボール部。同部には、寮住まいの部員たちが自ら昼食用の弁当を作る伝統がある。(青木美帆)
部員のうち11人が寮生活を送っている。朝夕は寮の食事が出るが、昼食は各自で用意しなければならない。コンビニや校内の食堂を利用するのが手っ取り早いが、今年の部員はほぼ全員が弁当を自作している。
この伝統がいつから、どのような理由で始まったのか。成田靖監督も正確には把握していないというが、現役生は「体づくり」と「節約」を理由に弁当作りに励んでいる。
「10分以内で作れます」
レパートリーは肉野菜いため、焼きそば、スパゲティなど、簡単に作れて、肉、野菜、主食がたくさんとれるものが中心。毎日寮近くのスーパーマーケットに行き、カット済みの野菜ミックスや、具材と混ぜるだけで調味できるレトルト食品、チーム付きの管理栄養士から「体づくりのために」とすすめられているオレンジジュースや乳製品などを購入する。最初はパッケージのレシピを見ながら試行錯誤で調理していたが、今では「片付けも含めて10分以内」(主将の常田耕平、3年)という上達ぶりだ。
毎日2.5合の米を炊く
194㌢の中村吏(3年)は体重を増やすため。「学食では足りなくて。自分でごはんを炊いたほうがたくさん量を食べられます」と、毎日2.5合のご飯を炊き、授業間に1合、昼食で1.5合食べ、さらにパンなどを加えることもあるという。入学時70キロだった体重が81キロに増え、「当たり負けしなくなり、プレーが安定してきました」とその効果を実感している。
常田は、「(寮生活で費用がかかり)親に迷惑をかけているので、節約できるところは節約したいと思っています」と話す。余ったお金は生活用品やプロテイン、食材にあてる孝行息子ぶり。昨年秋に寮に入った國分大雅(3年)も、同様の理由から弁当作りを始めたという。
コンビニよりも価格が安いスーパーのありがたみを知る彼らは、遠征先でも近くのコンビニでなく離れたスーパーに行くのだと、成田監督は笑いながら教えてくれた。