部活・勉強・進路決定・友達や先生、親との関係など、ストレスを抱えやすい高校生活。ストレスとうまく付き合うにはどうしたらいいのか、数多くの高校でスクールカウンセラーの実績を持つ臨床心理士・大倉智徳さんに聞いた。(山口佳子)

乗り越える経験積んで

なりたい自分を思い描こう

──なぜストレスを感じるのでしょうか。

他人からの干渉で、自分の思うままに振る舞えないときにストレスを感じることが多いと思います。また、自分はこうありたいという価値観と現実のギャップにストレスを感じる場合もあるでしょう。ストレスをネガティブに捉えてしまう場合もあれば、ポジティブに捉えて頑張るための「ガソリン」にできる場合もあります。ストレスは、受け取り方によって、良いものにもなれば悪いものにもなるのです

──ストレスをポジティブに捉えるコツを教えてください。

「自分がストレスを感じている今の状況を、この先どうしたいのか」と具体的にイメージすることが大切です。自分の方向性を思い描くことができれば、ストレスにどのように対処すればよいかも考えることができます。

家庭環境など、高校生一人の努力では解決できないことがストレスの原因である場合は「これからどんな進路に進みたいか」「どんな人生を送りたいか」「どんな人でいたいか」など、これからの自分をイメージすることです。一人で解決できないことは抱え込まず、信頼できる人に相談することも大切です。

「ごめんね」使い過ぎはやめる

──友人関係のストレスも少なくありません。

最近気になるのは、友人に本当の自分の気持ちを伝えられず、すぐに「ごめんね」と言って、表面上の仲を保とうとする人が増えていること。「ごめんね」と言ってしまうことで友人関係に序列が生まれ、ますますストレスにつながってしまうので、「ごめんね」は使い過ぎない方がいい。

──手軽なストレス解消法は?

人によってそれぞれだと思います。今、頭を悩ませていることを、いっときでも忘れさせてくれる何かを見つけておくといいと思います。

──ストレスがかかりやすい高校生の特徴は?

「自分はこんなものだ」と最初から諦めている人にストレスが多いように感じます。ストレスを感じても、解決せずやり過ごしてしまうので、結局また同じことでストレスを感じてしまう。高校生のストレスは、これから成長していくために必要な糧となるもの。ストレスを乗り越える成功体験を重ね、自信につなげてください。

 
 

おおくら・とものり 2002年からさまざまな公立高校でスクールカウンセラーを務める。現在は、小中学校、若者の社会的自立を支援するNPOなどにも勤務。

イライラはこう減らそう

高校生から寄せられた「イライラ」について、対応する方法を大倉さんに教えてもらった。

 部活動 

 Q  部活動できちんと仕事をしてくれない部長のフォローをしているのに、先生に褒められるのは部長ばかりなのがストレスです。

 A  君はなぜ、部長のフォローをしているのかな。部がうまく回るようにとの思いからなら、君がしていることを後輩や同級生が理解してくれているのでは。それでも先生に褒めてもらいたいと思うのなら、部長を差し置いてでも君自身が前に出てしまうという方法もある。自分のストレスの原因にきちんと目を向けて、これからどうしたいのかを考えるのは君自身だ。

 勉強 

 Q  勉強が思ったように進まなくて、イライラします。

 A  「思ったように」とは、何の教科のどの問題集の何ページを何時間でやる、というような具体的な計画だろうか。漠然とした目標にイライラしているようなら、より具体的な計画を立てる必要がある。それでも計画通りに進まない場合は、自分の実力に応じた計画に見直すことが大切だ。

 友人 

 Q  LINEの返信が面倒な一方で、既読なのに友人から返信がないと、ついイライラ……。

 A  すぐに返信しなくてはいけないことが前提となっているLINEは、それだけでしんどいのが分かる。つい流されて一生懸命やってしまうことで、ストレスがたまっている人も多いだろう。

「私、ぼーっとしていて、すぐに返信しないときがあるかもしれない」など友人と顔を合わせたときに自分の返信のペースを伝えて、お互いのペースの違いでイライラしないように工夫しよう。

【続けて読みたい】高校生・中学生のお悩み相談Q&Aまとめ