監督に挑戦する栗林由子さん(フジテレビ提供)

高校生がドラマ脚本の出来栄えを競う「第4回ドラマ甲子園」(CS放送フジテレビ主催)で、栗林由子さん(東京・桜修館中等教育学校5年=高校2年相当)の「青い鳥なんて」が大賞を受賞した。栗林さん自らが監督となり、プロのスタッフと共にドラマ作りにも挑戦した。

巧みに伏線盛り込む

「青い鳥なんて」は、衰弱した青い鳥を救うために行動する高校生の男女の青春ストーリー。作中では甘酸っぱい恋愛や友情が描かれ、無関係だった登場人物たちが次々とつながっていく伏線を盛り込んだストーリー展開が巧みだ。

栗林さんは1年生(中学1年)から演劇部に所属し、現在は部長を務め、脚本を担当している。友人の勧めで「ドラマ甲子園」に応募した。

構想から脚本完成までには3カ月を費やした。勉強はできるが人付き合いの苦手な眼鏡をかけた男子高校生など、登場人物の容姿や性格を綿密に考えてから脚本を書き始めるのが栗林さん流だ。

冒頭では、女子高校生たちの何げない会話のやりとりから、恋愛に悩むヒロインの人物像を見事に描き出した。「読み手を退屈させず、いかに物語の中に引き込むかが重要。最初のシーンをどれだけ面白くできるかを心掛けました」

撮影現場で悪戦苦闘

撮影は8月に1週間かけて行われた。当初は監督として頑張ろうと意気込むあまり、気持ちが空回り。「意見を主張しすぎて、撮影がスムーズに進まず、助監督を困らせてしまい……。現場では素早く決断したり、撮影スタッフを信頼して仕事を任せたりと、臨機応変に対応することを学びました」

心構えや行動を変えてからは、撮影スタッフとのコミュニケーションが円滑に。コミカルなシーンの撮影では「もっとナヨナヨした動きでお願いします!」と、役者に的確な指示を出した。笑いを誘う演出には手応えを感じている。「(完成した作品を見て)キャラクターがイキイキと動いていました。ラストシーンは脚本以上の出来。大勢の方に見てほしい」(中田宗孝)

 

【青い鳥なんて】夏休み最後の日。彼氏との関係に悩む高2の夏恋愛(かれあ)(飯豊まりえ)は、街で偶然、弱った青い鳥を保護した学年一の秀才・紘一(杉野遥亮)と遭遇する。それまで交流のない2人だったが、青い鳥を助けようと協力する。CS放送フジテレビTWO ドラマ・アニメ、10月22日午後11時~11時50分。