江口彩花さん(幡原裕治撮影)

2017年7月23日から29日まで英国で開催された「第28回国際生物学オリンピック」(IBO2017)に日本代表の一人として参加した江口彩花さん(東京・桜蔭高校2年)に、大会の様子や、本番までの準備、生物学の魅力などを聞いた。

中3では次点、高1で再挑戦して代表に

――生物学オリンピックに参加した理由を教えてください。

幼いころからよく動物園や水族館、科学館に行っていて、生物には興味がありました。学校では生物部でゾウリムシを育てています。

科学オリンピックのことは中学1年生の時に知りました。スポーツではなく学問で競うのがかっこいいと思ったし、自分にも挑戦できそうだと思い、中学3年生の時に初めて日本生物学オリンピックに参加しました。高校の教科書を読んで勉強し、代表選抜まで進みましたが代表に選ばれなかったのがとても悔しかったです。一時心が折れそうになったけれど、次点だったため(日本代表のための合宿などの)特別教育に参加することができ、生物学の面白さを再認識して、「もう一度挑戦しよう」と思いました。

高校1年生の時は、「今年こそ代表に選ばれたい」と奮い立って代表選抜までは『キャンベル生物学』を読み込みました。(高校1年生の終わりに)代表に決まった後は、学校行事(文化祭の副委員長)などで忙しかったけれど、空き時間を使って『キャンベル生物学』や高校で使っている生物図表などを読みました。とても優秀な日本代表の仲間に大きな刺激を受けました。

――生物学のどんなところに魅力を感じますか。

私たち人間や、人間と似ても似つかない生き物、愛くるしい生き物、ちょっと変な生き物…地球上に存在するたくさんの、多様性に富んだ愛すべき生物たちが共通性を持つこと、タンパク質などの小さな分子が集まって複雑なシステムを構成していること、そしてそのシステムがとても合理的なものであること…。もともと生物が好きなので、関係するすべてのことに感動するし、知ることがとても楽しいです。

代表合宿では、たくさん実験ができました。実験は、あまりうまくいかないところが面白いです。自分の力が及ばないというか…教科書通りにいかないことを通じて理解が深まることもあります。

本番ではハプニングも続出も日本チームの絆深まる

――国際生物学オリンピックの本番では、問題にどのように取り組みましたか。

実験試験の一つ目の、得意なはずの「生化学」では、実験器具などにさまざまなハプニングが起こり大失敗をしてしまい、そこでメンタルがやられてそれ以降の実験もすべてできなかったのでとても後悔しています…。また、「発生生理学」と予告されていたはずの試験の内容が、なぜかただの「生理学」になっていて、事前に「発生」をすごく勉強していたのに全く出題されず…。しかもほぼすべて解剖(解剖ができないと生理学に進めない)だったので日本チーム一同衝撃を受けました。1センチくらいのハエの幼虫から臓器を取り出す問題でしたが、解剖も予告されてなく、練習していないのは痛かったです。実験試験の日の日本チームは元気がありませんでした。そこから日本チームの絆も深まりました(笑)。

一方、理論試験はみんなよくできて、休憩時間も笑顔でした。ただ、いつもと傾向が違って(ほとんど考察問題、分野の偏りも激しい)ここでも衝撃を受けました。

――他国のチームとは交流できましたか。

ブラジルチームととても仲良くなれました。ブラジルの人たちはアニメなど日本のことが大好きで日本語もかなり話せ、とてもきれいな折り紙をくれました(国同士のお土産交換はかなり多かったです)。とてもフレンドリーで話しやすかったです。寮の部屋が隣だったインドチームともポケモンについて語り合ったり、トランプ(大富豪を教えました)をしたりしてとても楽しかったです。

日本チームの代表同士も、夜中に集まっていろいろ話をしたりして、日本に帰るころにはとても仲良くなっていました! ハプニングもありましたが、語り切れないくらい楽しい大会でした。

男女の能力差はない、女子はもっと挑戦も

――これから科学オリンピックへの挑戦を考えている中高生にアドバイスをお願いします。

私個人としては、男子と女子の能力の差はないと思っていますが、現実問題として科学オリンピックの国際大会に出る女子がとても少ない。国内大会に挑戦する人が少ないためです。女子の参加者が増えてほしい。

生物学オリンピックは、知識の量を問うのではなく、実験結果を読み解く考察問題が多いので比較的敷居が低いオリンピックだと思います。意外にやってみればできてしまうものなので、ためらわずに挑戦してほしいと思います。特に、女子にはたくさん参加してほしいです! 生物学オリンピックには女子が(比較的)たくさんいます!

――今後の目標を教えてください。

来年、生物学かほかの科目の科学オリンピックに参加するかもしれません。無事に大学に入って、生物の研究者を目指したいです。大学院くらいまでには海外に行きたいです。