第28回国際生物学オリンピック日本代表の4人。左から池田亘孝君、江口彩花さん、佐藤源気君、津島彰悟君(7月21日、東京の科学技術館で開かれた結団式)

世界の高校生らが生物学の実験と理論の試験に挑む「第28回国際生物学オリンピック」(IBO2017)が7月23日から29日まで英国で開催され、日本代表の高校生4人全員が銀メダルを獲得した。文部科学省と国際生物学オリンピック日本委員会が発表した。

世界64カ国・地域の代表241人が参加

日本代表として参加し、銀メダルを獲得したのは、池田亘孝君(東京・筑波大学附属駒場高校3年)、佐藤源気君(滋賀県立膳所高校3年)、江口彩花さん(東京・桜蔭高校2年)、津島彰悟君(東京・私立武蔵高校2年)の4人。

今大会には64カ国・地域の241人が参加した。金メダルは参加者の上位約1割に、銀メダルが続く約2割に、銅メダルが続く約3割に贈られる。大会は毎年開かれ、大学などの教育を受けていない20歳未満の生徒が対象。生物学の研究への興味を深めて才能を伸ばしてもらうとともに、生物学好きの生徒同士の国際交流を図ることなどが狙い。

日本は2005年から毎年4人を代表として派遣している。日本代表になれるのは一度だけだ。今回の代表4人は、3469人が参加して開かれた国内大会「日本生物学オリンピック2016」で選抜され、大学などで研究者による合宿形式の特別教育を受けるなどして国際大会に備えてきた。

日本代表4人の横顔は

池田君は、学校では農芸部に入り、畑で作物を育てている。生物学は「わからないことがたくさんある」のが魅力という。「研究者がどう考え、どういうプロセスで問題を解決したのかを知って、自分もしてみたいと思う」。特に遺伝子に興味があり、研究者志望だ。今後、生物学オリンピックの国内大会に挑戦する高校生には「問題をただ解くだけでなく、間違えたときに、なぜ自分の考えは間違っていたのか考察するとよい」とアドバイスする。生物に関するニュースに接したときに「記事に書かれていることについて自分で調べてみるのも大事」という。

佐藤君は、学校の部活は生物班。生物学を学ぶと「生物の複雑な現象も、単純な化学反応や物理法則からできていることが分かる」のが面白いと語る。高校入学後に校内のポスターを見て大会について知り、「生物学という面白い学問への道を開いてくれた」。「とことん知りたいタイプ」で、本番に向けて多くの教材を読み漁って知識を広げたという。勉強をしているうちに遺伝子工学に特に興味をもった。将来は研究者志望だ。

江口さんは幼いころから動物が好きで、仕組みや動きに興味をもっていたという。学校の生物部ではゾウリムシを育てており、「動きがすごくかわいらしくて、見るのが楽しい」と話す。前年の国内大会では次点で代表を逃し、悔しい思いをした。「キャンベル生物学」を何度も読むなどして勉強を重ねたという。将来は生物学者志望だ。

津島君も学校では生物部員。フナムシの分類などに取り組む。生物学は「生態から細胞まで扱うスケールの広さが面白い」と話す。中でも「進化」に興味があるという。一方で学校では文系理系を問わず幅広く興味をもって学んでおり、将来の進路は決めていないという。大会前の取材には「よい結果を目指し、できる限り多くの友達をつくりたい」と話していた。

2020年に長崎で開催

 国際生物学オリンピックは来年はイランで開催される予定。2020年には長崎県で開かれる。日本での開催は、09年の筑波大会に続き2度目となる。(西健太郎)