新妻秀規文部科学大臣政務官(中央)に報告に訪れた国際地理オリンピック日本代表の4人。左から篠原周太郎君、青沼惠人君、日名子晃一君、田口康之君(8月10日、文部科学省)

世界の高校生らが地理の力を競う第14回国際地理オリンピックが8月2日から8日までセルビアで開かれ、日本代表として高校生4人が参加。団体部門であるポスターセッションで世界1位に選ばれた。個人部門では銀メダル1個、銅メダル1個を獲得した。文部科学省と国際地理オリンピック日本委員会が発表した。

41カ国・地域の160人が参加

大会は、大学などの教育を受けていない16~19歳が対象。世界41カ国・地域の160人が参加した。海外では、高校を卒業した生徒が大学入学前の期間を利用して参加するケースも多いという。

日本代表は、青沼惠人君(東京・筑波大学附属駒場高校2年)、篠原周太郎君(京都市立堀川高校3年)、田口康之君(東京都立武蔵高校3年)、日名子晃一君(広島大学附属福山高校3年)の4人。

「アニメツーリズム」テーマに研究し1位

国ごとに挑む団体部門「ポスターセッション」の課題は「自国の若者にとっての観光資源」。日本代表4人は、フィールドワークをした埼玉・川越を舞台にした「アニメツーリズム」に注目した。アニメゆかりの地を訪ねた若者に伝統的な観光名所もめぐってもらい、継続的に川越を訪れてもらえる方法を地理的な分析をふまえて提案し、参加国・地域の中で第1位に選ばれた。

日本代表4人が作成し、1位に選ばれたポスター(国際地理オリンピック日本委員会提供)

個人競技では、選択式のマルチメディア、記述式、フィールドワークの3種類の試験を英語で受け、青沼君が銀メダルを、日名子君が銅メダルを獲得した。試験は思考力や判断力を問うのが特徴。地理オリンピック日本委員会によると、フィールドワークテストでは、ベオグラード市内の丘陵地にある、スポーツ施設が立地する公園を舞台に、施設の老朽化の状況や周辺の地形、地質、気候の特徴を踏まえながら、若者向けの観光開発を具体的に立案させる問題などが出題されたという。

地理生かした問題解決能力が学べた

帰国後に取材に応じた4人は、地理オリンピックに取り組んで学べたこととして、「地理の知識を生かして考える力」(青沼君)、「歴史、地学、気象などいろんな分野がつながっていること」(篠原君)などを挙げた。田口君は「地理の知識を運用して、(その土地の)問題点の解決策を提案するという、受験勉強では得られない能力を身に付けることができた」と話す。日名子君は「海外選手は皆、自分の国の歴史についてすごく話していた。ヨーロッパでは(歴史的に)民族の移動も多い。自分も日本についてもっと詳しく知らないといけないし、相手の国の歴史観も尊重しないといけない」と話した。

来年の第15回大会はカナダで開催される。日本代表を選抜する第12回科学地理オリンピック日本選手権は、今年9月1日から11月15日まで応募を受け付ける。