「慎重に物事を考える性格」と自己分析する女優の波瑠さん。仕事でも未体験のことには足がすくむが、「失うものは何もない」と前向きな気持ちで挑戦を続けている。気の合う友人とそれぞれの目標に向かって頑張った高校時代の思い出も懐かしそうに話してくれた。(文・中田宗孝、写真・坂田謙)

失敗のリスクは意外とない

中学生の時に自分の意志でオーディションを受けて女優の仕事を始めた。高い行動力の持ち主と思いきや、「何かを始める前は『私にはできないかも……』って考え込む性格」と話す。

悩んだときは、決まって「挑戦して失うものがあるか考える」という。「たとえ失敗しても、それで大きなリスクになることって意外にないと気がつく。すると気持ちが切り替わり、難しい役や新しい作品にも思いきり向き合っていけるんです」

高校時代は友人が支え

高校時代は、学業と芸能活動の両立で、心休まることのない日々が続いた。だが、夢に向かって突き進む友人が心の支えになった。「彼女は夢を追って一生懸命頑張っていました。そんなタイプだから、納得いく演技ができずに悔しい思いでいっぱいの私の内面も分かってくれました。(友人の支えもあり)『学校が楽しい!』と、心から思えた高校時代でした」

進路や将来に不安を感じる高校生には「まずは好きなことを一つ見つけて」とアドバイス。「もちろん、好きなことばかりしているわけにはいかない現実もあるはず。そんなつらい状況になっても『続けたい!』と思えることが、自分の未来につながる一歩になります」

先生の気持ち少し分かった

主演する連続ドラマ「お母さん、娘をやめていいですか?」では、母との関係に苦悩する高校教師を演じる。「先生の役は、自分の記憶の中にある高校の先生の姿を思い浮かべながら役作りをしました」

波瑠さんの演じる教師が、多感な思春期の生徒の対処に困り果てる場面もある。「生徒たちにどこまで踏み込んでいいのか、あえて見守るだけの方がいいのか、距離感が難しいんですね。実際の先生の気持ちが少し分かりました(笑)」

はる
1991年6月17日生まれ。東京都出身。2006年、ドラマ「対岸の彼女」で女優デビュー。15〜16年に放送されたNHK連続テレビ小説「あさが来た」でヒロインを好演。主な出演作はドラマ「世界一難しい恋」「ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子」など。