安房高校化学部は50年以上の歴史がある名門。化学部としては大人数の28人の部員が、文字通り寝食を忘れて研究に没頭している。(文・写真 青木美帆)
燃料電池など多彩な研究
昨年の「坊ちゃん科学賞」(東京理科大学理窓会主催)最優秀賞など、さまざまなコンクールで受賞経験を持つ。校章をアレンジしたエンブレムがプリントされた白衣が「ユニホーム」だ。
部員たちは「燃料電池の研究」「南房総産カジメから抽出したヨウ素を利用した太陽電池パネルの研究」「二酸化炭素から有機化合物を合成する研究」の中から一つのテーマを選び、研究に励んでいる。
近年エコカーの開発などで注目されている燃料電池の研究は、3班に分かれて活動中。安価な金属を使って高性能の電池を開発することが目的で、「自分たちの研究が役立つ日がくると、半ば冗談、半ば本気で信じています」と小澤史弥君(3年)は話す。
週末は実験合宿
平日3時間程度の活動時間は、主にデータ処理と実験計画に充てられる。部が本領を発揮するのは週末の「実験合宿」だ。金曜日は食料などの買出しのあと化学室に再集合し、夜通しの実験がスタート。実験が佳境に入ると毎週実施し、長いときは土曜日の夕方までデータ採取を続けるときもある。
部長の三津田直生君(3年)は「最初は一切寝ずに実験していたけど、最近は15分ごとのデータ採りに合わせて寝られるようになりました」。寺嶋唯人君(3年)は「化学室の椅子を並べて、その上で仮眠をとります。親も慣れて『(金曜の)夕飯はいらないね』くらいしか言いません」と笑う。
「人って熱中すると寝もせず食べもせず、でもずっと何かを続けていたいものなんですよね」と顧問の両角治徳先生。高校生ながら大学生や大学院生を思わせる本格的な研究生活に、青春をめいっぱい捧げている。