小規模な公共建築の設計を競う第23回「あすなろ夢建築」大阪府公共建築設計コンクール(主催・大阪府)で、大阪・都島工業高校建築科の井上祥生君(右写真:3月卒業)が準グランプリを獲得した。(文・写真 坂祐三)
建築家への第一歩
コンクールの目的は、将来の建築技術者を育成すること。2013年度のテーマは「明るいコミュニティーをはぐくむ」。大阪府堺市内に建てる住宅集会所の設計が課題として出され、1月に作品を募集。大阪府内の高校生、短大生、専修学校生らから約190点の応募があった。
井上君は、間仕切りを工夫し、どんな使用状況でも空調を自由にコントロールできる集会所を考え、同校の生徒としてはこれまでの最高位となる準グランプリに輝いた。3月20日の表彰式に出席した井上君は「昨年も応募したのですが、まったく評価されなかったので、今年の結果には少し驚いています」と話した。
30時間かけて準備
構想は昨年の秋から練った。12月になり「提出の1週間前から学校で、約30時間かけて集中してやったのが良かったと思います」と笑顔を見せる。
実践演習を重視する同校建築科は、5年連続で入選者を出すなど、コンスタントに実績を挙げてきた。進路指導係の門脇裕之先生は「建築科は1学年2クラス(60人)の多くが、このコンクールに参加します」と話す。
井上君は、この春卒業して設計事務所へ就職。「有名な建築家のル・コルビュジエが設計したフランスのロンシャン教会をいつか見に行きたい」と目を輝かす。
後輩たちも「井上さんに続け!」と、次回のコンクールでグランプリを目指す。
MEMO 敷地内に重要文化財の1/2模型
建築科では2013年5月から、大阪工業技術専門学校の助けを借り、同校敷地内に重要文化財の飛騨高山、吉島家住宅の2分の1模型の製作も進めている(右の写真)。建築科長の宇都直人先生は「生徒たちがコツコツとやって、ここまで仕上げてきました。昔ながらの土塀もあり、現代とは違った工法を学ぶことができます」と語る。