男声合唱団、福岡・福岡工業高校グリークラブが、イタリアの作曲家ベルディの合唱曲「レクイエム」への挑戦を続けている。1時間半に及ぶ大作だ。(文・写真 南隆洋)

今年はベルディの生誕200年にあたり、九州交響楽団(九響)が記念のコンサートを9月24日に開催する。ドイツから指揮者を招き、オーケストラをバックに九響のほか、大学生らで編成した150人の合唱団が歌う。高校からは唯一、同校が選ばれた。

 

部は2009年と昨年、福岡県代表として全国高校総合文化祭に出場。年末の九響との「第九」コンサートにも10年連続で参加してきた。その実績と実力が認められた。九響事務局は「若い男声が加わることで、さまざまな声質が交わり、美しいハーモニーが生まれる」と期待する。

「レクイエム」の楽譜はA4判124㌻。全曲1時間25分。テノールは高音に及び、しかもテンポが急変したり、複数の旋律が重なったりして高度な技法が必要な難曲だ。計8パートのうち、生徒はテノールとバスの4パートを担う。

顧問の米村英樹先生にラテン語の発音を教わり、歌詞の意味をインターネットで調べた。今年3月から練習を始め、4月の合同練習で初めて全曲の通し演奏をこなした。

「作曲者になり代わって、思いを表現しよう」という米村先生の指導を受け、部長の工藤翔平君(3年・バス担当)は「高校生活最後の曲。教わってきた全てをこの曲に注ぎ、後輩たちに伝えたい」とハーモニーを導く。