みちびき2・4号機のCG画像(準天頂衛星システムのウェブサイトqzss.go.jpから)

日本版の衛星利用測位システム(GPS)を構築するための準天頂衛星「みちびき2号機」が6月に鹿児島県・種子島宇宙センターからH2Aロケットで打ち上げられ、衛星は予定の軌道に投入された。

位置情報の誤差6センチに

現在、カーナビやスマートフォンの位置情報には米国のGPS衛星が利用されているが、誤差が数メートルある。政府は8月に3号機、年内に4号機を打ち上げて4基体制にする方針だ。2018年度には、誤差は1メートル以下になり、特殊な機器では6センチまで縮まる。
10年に打ち上げた初号機と今回の2号機は、地上から見ると8の字を描くような「準天頂」軌道を周回。3号機は災害時の安全確認などに使えるよう、常に日本を捉える静止軌道に投入する。4号機が加わると、いずれかが常に日本を真上からカバーし、山間部やビル街でも安定して高い精度の位置情報が得られるようになる。
2~4号機の開発と製造費は計約900億円で、ほかに地上の運用などに1千億円以上を投じる。

自動運転や農業などに活用

高精度の位置データは車の自動運転や農業・土木作業の効率化、子どもや高齢者の居場所確認、スポーツの戦術分析など、さまざまな分野で活用が期待される。日本版のGPS構築が進めば、20年時点で経済効果は年間約2兆円に上るという試算もある。
政府は23年度をめどに7基体制にして、米国のGPS衛星に頼らない日本独自のGPS構築を目指しており、アジア太平洋地域へのサービス提供も検討している。