基板を製作する佐藤さん。「自分の思うとおりに動かせたときが楽しい」と語る

昨年度の「高校生ものづくりコンテスト(全国工業高等学校長協会主催)」の電子回路組立部門。土浦工業高校の佐藤美登さん(情報技術科3年)は、茨城県大会を女子として初めて制し、関東大会でも準優勝した。決して器用ではな
いが、こつこつと努力を重ねながら、着実に成長している。(文・写真 小野哲史)

機械・電気分野は苦手だった

同校に進学を決めたのは、「就職率内定率が100%と聞いた」から。機械や電気などの分野に興味があったわけではない。むしろ苦手だった。「家にはパソコンもなく、DVDデッキなどをよく壊してしまうほどでした」と佐藤さん。
 情報技術科では情報機器に関連した技術や理論を学ぶが、「最初は授業でも先生が何を言っているのかわからなかった」と笑う。1年生の冬、プログラミングを競う競技会に参加したが、そこでも問題を理解しきれず「半分ぐらいしかできなかっ
た」と振り返る。

負けず嫌い高じて猛練習

2年生になり、先生からものづくりコンテストへの参加を勧められた。電子回路組立部門は、2時間半で電子基板回路の設計、製作、プログラミングを行い、その正確さや見栄えを競う。佐藤さんは夏の県大会に向け、特に不得意だったハンダに
よる基板製作の技術を磨いた。講習会に参加し、夏休みや放課後にも先生の指導を仰ぎ、「夜8時頃まで練習したこともあった」という。
 練習の成果を試すつもりで臨んだ県大会は、佐藤さん以外は全員が男子という中、自身も驚く第1位。しかも女子の優勝は史上初という快挙だった。
 続く関東大会も女子の参加者はただ1人。最初の動作確認で思うように動かない窮地を冷静に乗り越え、準優勝。ただ、プログラミングのわかりづらさや見栄えがもう一つだった点を指摘され、「悔しくて、泣きながら学校に帰りました」と振り返る。
 自分の性格を「負けず嫌い」と分析するように、できないとき、うまくいかないときの悔しさを原動力に自身を成長させてきた佐藤さん。今年は関東大会で優勝し、全国大会に出場することを目標に掲げている。

県大会の賞状とコンテストで製作した電子基板回路を手にした佐藤さん