札幌西高校山岳部の7人(現2、3年生)が、マレーシア・ボルネオ島の東南アジア最高峰キナバル山(4095㍍)登頂を成し遂げた。挑戦をきっかけに、将来の夢を膨らませている。 (岡崎敏)
「海外の山に登ってみたいね」と、昨年春に部員同士でテント内で語り合った夢が、正夢になった。
開校100周年を記念して同窓会が、在校生の夢をかなえるために企画した「ドリーム・プロジェクト」に応募して、選ばれたもので、昨年12月31日に登頂が実現した。
部員の「富士山より高い山に登りたい」という思いをつづった書類が1次選考を通過し、6件に絞られた。昨年7月の最終選考(プレゼン)では、部長の山下詩央里さん(3年)が「日本では体験できない4000㍍に意味がある」とプレゼンし、登頂資金を得た。
「結果が発表された時には、泣いてしまいました」(山下さん)。選考では、北海道内の高校山岳部で初の海外登山挑戦という独創性や、計画の実現性の高さなどが評価された。 出発までは、練習量を増やし、長時間の登山に備えた。外国人の先生から、英語の特訓も受けた。
昨年暮れにマレーシアに渡った。準備は十分にしたが、3000㍍以上の高度は初体験で、酸素の薄さに苦労した。部員の1人に頭痛などの高山病の症状が出たが、励まし合って頂上を目指した。
3000㍍付近の山小屋を未明に出発。頂上では雲海から上る日の出に感激した。「暗闇から、だいだい色の朝日が出てきた景観が本当にきれいで、幸せでした。恥ずかしいけど、山岳部は青春だと思っています」と遠藤綾子さん(3年)。何より、7人全員で無事登頂できた達成感は格別だった。
国際交流も刺激になった。「現地の人は温かく接してくれた」と小野純太君(3年)。将来、研究者になり、各国の人と議論する夢が広がった。医師志望の本田楓さん(3年)は「将来、国境なき医師団に入れたらと思いました。難しいけど、諦めません」と話した。 7人には、10年後の夢がある。「今度は自分でお金をためて、7人でもう1回、キナバルに登ろうと話しています。いや登ります!」(山下さん)。海外登山で深めた友情は将来も続く。