須崎工業高校造船部は、昨年8月、ソーラーボートの全国大会で学生記録を更新する活躍で、1、2位を独占した。それまでのリタイアや予選敗退などの悔しい思いをバネに、強豪校へと成長を遂げた。(文・写真 藤川満)

企業チームを凌ぐ強豪

福岡県柳川市で開催されている「柳川ソーラーボート大会」は、太陽光の力で進むソーラーボートの全国大会だ。昨年、同部はスピードと機動力を競うスラロームコンテスト(学生の部)で上位を独占。これまでの学生記録を4秒も縮め、企業チームが参加する一般の部の優勝タイムをも上回るという驚異的な記録を打ち立てた。
5人の部員全員が造船科に所属している。整備担当として大会に出場した副部長の嶋﨑史晃君(2年)は「ソーラーボートは意外に速いのが面白い。見学してすぐ入部を決めました」と話す。
同部は現在、今年の大会に向けて研究を重ねている。同部のボートはスタートダッシュに優れているが、持久性にやや劣る。その改良が課題だという。それを克服すれば、持久力を競う周回レースとスラロームコンテスト両部門を制することも夢ではない。嶋﨑君は「今年はドライバーとして優勝を目指したい」と意気込む。

磨いた技術で造船業に貢献

「この大会に参加したことで、生徒たちに自信が生まれた」と木下先生は部員たちの成長に目を細める。現在はまだ、木下先生の指導に従った作業が多いものの、今後は部員自ら発案したアイデアを生かしたソーラーボートづくりが理想の姿という。
部員の多くは卒業後、県外の造船業に就職する。ソーラーボートで培った技術と自信で、これからの日本の造船業を明るくしてくれるはずだ。

 

 

【写真説明】
上:同部のソーラーボート「Suko2」「Suko3」と部員たち。時速約18キロのスピードを出すことができる。性能だけでなくドライバーの技術も不可欠だ。
下:プロペラの調整を行う嶋﨑君。プロペラの微妙な形状の違いによりタイムは大きく変わる。