1917(大正6)年創立と歴史ある甲府工業高校。開校以来初となる女子の生徒会長に就任したのが、齋藤由姫さん(建築科3年)だ。(文・高野雅裕/写真・幡原裕治)
齋藤さんは、2年の11月に生徒会長になった。「1年生から生徒会に入っていましたが、顧問の先生や先輩からの勧めもあり、せっかくのチャンスなのでやってみようと決心しました」と話す。同校の生徒会の運営組織は、本部役員9人と企画実行委員の41人。この組織をまとめるのが齋藤さんの役割だ。
自分が指示する立場となり、初めは「本当にこれでいいのか」と不安もあったが、続けるうちに「一つの仕事を成し遂げた後に、達成感がある」と、生徒会長としてやりがいを感じるようになった。
「チームワークを大切にしているので、生徒会全体が明るくなった」と生徒会主任の植松直希先生。齋藤さんは生徒会活動と併せて、部活や学業もこなしている。植松先生は「いつもメモ帳にきちんと予定を書いて、自分でスケジュール管理をしている。安心して任せています」と、厚い信頼を口にする。
生徒会活動では何事も率先して行動する齋藤さん。しかし、「力仕事だけは難しいので、男子に頼っている」そうだ。他の仕事も一人で抱えないで、「自分ができることは自分でしますが、できないことはみんなに協力してもらい、取り組んでいる」と言う。
工業高校に通う女子はまだ少ないが、「生徒会活動に限らず、自分の持っている力を、いろいろな場でもっと出したらいいと思う。どんな力でも、必ず何かの役に立つのだから」と力を込める。
工業高校の建築科に入ったのは「子どものころ、建築家になりたいと思ったから」と言う。その夢を実現するために、建築学科のある大学への進学を目指して勉強に励んでいる。 「1級建築士になって、自分で設計した家を造れたらうれしい」と、将来の夢を話してくれた。