高校生が科学の知識や技能を競う「第1回科学の甲子園全国大会」(科学技術振興機構主催)が3月24 ~ 25日、兵庫県西宮市の県立総合体育館で開かれた。各都道府県の選抜47チームと特別枠1チームが参加。初代優勝校に輝いたのが、埼玉県立浦和高校だ。
校6~8人が2日間にわたり筆記、実験、総合の各競技に挑み、合計得点を競った。総合競技では、赤土を入れる容器を即興で作る「甲子園の土」と、模型自動車のレース「クリップモーターカー・フォーミュラー1」の二つの課題に挑戦。自由な発想力が鍵となる、アイデア勝負の競技だ。
「甲子園の土」の会場には48チーム分の机が並び、その上には定規やハサミ、セロハンテープ。生徒たちは配られた25㌢角の紙に線を引き、出来上がりの形を予想して展開図を描く。紙を切り張りして容器を完成させたら土を投入。升型や船型など各チームさまざまな入れ物が出来上がった。
90分の制限時間が終わると、判定員が容器に入れた土を計量していく。量の多いチームが勝ちだ。1位の浦和高は6角錐の容器に2271㌘の土を詰め、他校を圧倒した。キャプテンの原雄大君(現3年)は「ほかのメンバーの協力がなければ、僕は体積計算に没頭できなかった」と、チームワークを勝因にあげた。
もう一つの総合競技「クリップモーターカー」は、自作の模型自動車を走らせてスピードを競うというもの。浦和高は、意に反して車が逆走してしまい決勝進出を逃したが、その他の競技の総得点で総合優勝を勝ち取った。
浦和高のチームを指導してきた佐々木肖子先生は「有志で集まったメンバーがここまで結束できるとは。競技を重ねるうちに、生徒同士が意見を交わすようになっていった。個々の力を融合させることの大切さを悟ったのでは」と話す。 (文・写真 松本妙子)
写真説明=優勝した浦和高。インフルエンザで欠場したメンバーのためにも「何としても勝ちたかった」と原君