東京大学の次期総長が五神真(ごのかみまこと)・同大教授に決まった。11月27日に記者会見した五神教授は、学生に「大きな夢を持って挑戦者として研鑽(けんさん)してほしい」と呼び掛け、具体的に養ってほしい力を挙げた。今年から選考が始まる推薦入試については、「本当に来てほしい学生を呼び込める制度」と期待を話した。今年4月に就任する。任期は6年間。
(西健太郎)
五神教授は、1957年生まれ。光物理学が専門。東京・私立武蔵高校を経て、東大理学部卒業。工学部と理学部の教員や副学長を務め、現在、大学院理学系研究科長・理学部長を務めている。
忍耐力、広い視野など求める
会見では、「社会には、環境、エネルギー、格差など旧来のやり方で解決できない課題が多くあり、解決には新たな発想とアイデアが必要」と強調。学生に鍛えてほしい力として①原理に立ち戻って自分の頭できちんと考える力②困難に直面してもあきらめないで考える力、忍耐力③すでにあるものを借りてくるのではなく、自ら新しいアイデアや発想を出す力④自らを相対化できる広い視野―の4つを挙げた。
そのために「東大を、研究の最前線で知の興奮と喜びを体験し、自己を成長させる場にしたい」と意気込みを述べた。関連して、自身の研究生活を振り返って「研究は非常に地味な活動で、こつこつとあきらめずに続けることが大事。すると、ある時ぐんと世界が広がる瞬間がある」と語った。
推薦入試に期待
濱田純一現総長が進めてきた学部教育改革により、東大は新年度から4学期制を導入し、教育の方法も変える。五神教授は「教育には安定も重要。改革を定着させることが大事」との考えを示した。
2015年度入学者(現在の高校2年生)から導入する推薦入試(定員100人)については、「(現在の二次試験は)単なる知識ではなく考える力を見る工夫がされている」と評価したうえで、「ペーパーテストの限界はある。推薦入試は、各学部が求める学生を選ぶもの。まず100人だが、学生の多様性を確保できる」と期待した。
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