ISEFで使用したポスターを指さす久保君。総文祭でも「分かりやすい発表」を目指す

久保裕亮君が取り組んだ研究は「エチレンはどのようにカイワレダイコンの子葉をカールさせるのか」。総文祭では自然科学部門に茨城県代表の1人として参加し、口頭発表を行う。
(文・写真 堤紘子)

きっかけは「生活の知恵」

研究を始めたきっかけは、中学2年生の時に家で「リンゴとバナナを同じ袋に入れると、バナナが早く熟す」という生活の知恵を知ったこと。リンゴから出る植物ホルモン「エチレン」の働きに興味を持った。

 植物の中で比較的成長が早いとされるカイワレを使って実験したところ、エチレンが子葉を下向きに大きくカールさせることを発見した。この現象についての先行研究がなかったことから自らが研究を進め、昨夏、エチレンが子葉の裏側の細胞の成長を抑制することを突き止めた。

分かりやすい発表を

久保君は、昨秋の茨城県高文連自然科学部研究発表会の生物部門で最優秀賞、ポスター部門で優秀賞に輝いた。研究発表は、研究成果を分かりやすく伝える表現力が重要だ。久保君は発表の構成をしっかり組み立てた上で、ポスターやスライドは「図表をなるべく多く使い、研究テーマについて何も知らない人にも分かってもらうことを常に意識しました」と振り返る。

5月にアメリカで受賞

今年5月にはアメリカで開催された、世界の高校生が科学技術の研究成果を競うISEF(インテル国際学生科学技術フェア)に日本代表の1人として出場。アメリカ園芸学会賞の3等を獲得した。会場では世界各国の高校生と交流し刺激も受けた。「とりわけアメリカの高校生の研究目的は、同じ植物に関する研究でも食糧危機と関連付けるなど、スケールが大きいと感じました」

 「国際大会入賞」というお墨付きを得ての総文祭出場。久保君は「自分の研究に、より多くの人に興味を持ってもらいたい。ISEFの(日本からの)出場者にも再会できるかもしれないので、楽しみです」と、期待に胸を膨らませていた。

【TEAM DATA】
2008年創部。部員数15人(6年生3人、5年生8人、4年生4人)。高校生科学技術チャレンジ(JSEC)2014審査員奨励賞、第4回高校生によるMIMS現象数理学研究発表会優秀ポスター賞など、科学の各分野における大会の受賞多数。「楽しむだけではなく、研究にしっかり取り組む部活」であり続けることを日々意識している。