英語を織り交ぜて、留学生に手取り足取り説明していた

7月4日、厳かな緊張感に包まれた弓道場。アメリカ、インド、バングラデシュから留学中の大学生3人が見守る中、小池隼太君(2年)が「道場に出入りするときは、必ず礼をします。道場に宿る神様に感謝を伝えるためです」という説明に合わせて礼をした。その後、留学生は生徒たちの手本をまねながら弓道を体験した。

 埼玉県立浦和高校のSGH課題研究の一つ「留学生とともに学ぶ弓道教室」を選択した2年生12人は、弓道を通じて、留学生に日本特有の思想や文化を伝えようとしている。
 

「奥深さ」を正しく表現

メンバーは4月から、留学生に弓道を正しく伝えるため、和弓と洋弓の違いを学んだり、教本を読むなどして研究してきた。また、弓道を英語で説明する適切な表現も検討した。
 弓道には、射手が平常心を保てるよう8つの型がある。例えば、矢を放った後の型「残身(残心)」は、英語で直訳すると「follow throw(射たあとを目で追う)」。英語では、表面的な説明にとどまってしまい、正確なニュアンスは伝わらない。前原栞太君は「射た結果を振り返る時間」と、型の意味を日本語で補足した。

 小池君は「英語と日本語の語感の違いを実感した。直訳の意味にはない、奥深さを伝えることが難しかった」と振り返る。

 今後は、弓道の背景にある禅の思想などをより深く学び、英語で独自の弓道教本を作る計画を立てていく。

(文・写真 堤紘子)

 

 2014年にSGHに指定。2年生は「人類の共存」「持続可能な地球環境」「普遍的価値の探求」に関する国際的課題を、文学、音楽など37のテーマから研究に取り組む。