世界選手権男子200メートル予選で2着に入り、世界から注目された (8月25日、北京=中村博之撮影)

全国高校総体(インターハイ)陸上競技が7月28日から8月2日まで紀三井寺公園陸上競技場(和歌山)で行われ、各種目で東京五輪出場を夢見る原石たちが躍動した。中でも男子200メートルで圧勝したサニブラウン・ハキーム(東京・城西2年)への注目は特別だった。(中尾義理)
 

世界選手権でも注目

インターハイ前から高校生の域を超える快走を連発した。6月の日本選手権で100メートル・200メートルとも2位に入り、7月の世界ユース選手権では短距離2冠を達成。200メートルでは20秒34の高校新記録をマークすると同時に、100メートル・200メートルの世界記録保持者のウサイン・ボルト(ジャマイカ)が持つ大会記録を更新して驚かせた。

ライバルに雪辱

 大きな勲章をつかんだサニブラウンだが、インターハイは甘くなかった。
 7月30日の100メートル決勝は自己記録の10秒28に次ぐ10秒30で走ったが、前年覇者の大嶋健太(東京・東京3年)が0秒01先着して2連覇。大嶋の気迫に敗れた。サニブラウンは「この結果を受け止めて次につなげたい」と気持ちを切り替えた。

 2日後の200メートル決勝では前半から大嶋らライバルたちを圧倒。向かい風1.5メートルの中、ただ一人の20秒台となる20秒82で優勝した。「200メートルは自分の専門種目。勝たなきゃいけないと思っていた」と胸を張った。

壮大な夢に挑む

日本選手権と世界ユース選手権の活躍で、8月22日開幕の世界選手権(北京)に、日本代表男子史上最年少で出場。200メートル予選で20秒35をマークして組2着。準決勝に進出した16歳として、世界トップ選手や海外メディアからも注目を浴びた。

 「大きな目標を持っていた方が自分を高められる」と話すサニブラウンには「100メートルと200メートルの世界新記録」という壮大な夢がある。実績も思考も超高校級のスプリンターは、自身の可能性を信じて挑戦し続ける。
 

PROFILE
1999年3月6日、福岡県生まれ。ガーナ人の父と、陸上短距離でインターハイ出場経験のある日本人の母がいる。中学3年時に全国100メートル3位、200メートル2位。187センチ、70キロ。