優勝を決めてガッツポーズする大嶋健太 (南隆洋撮影)

第69回国民体育大会(長崎がんばらんば国体)の陸上競技少年男子A100メートル決勝が10月18日、諫早市の県立総合運動公園であり、大嶋健太(東京高2年)=東京・中村中出身=が10秒44で優勝した。全国高校総体(インターハイ)に続き、2冠を達成した。
(南隆洋)

「優勝」と決めてゴールへ

この日は準決勝をトップで通過。決勝では、中盤から加速がつき、追いすがる近藤晃(愛知・愛工大名電3年)を0秒12差でかわした。
 レース後、「向かい風(0.8メートル)の中で、ベスト(10秒37)に次ぐ記録が出せたのは自信になった」と冷静に分析。「得意ではなかったスタートが、この大会で安定してきた。『優勝』と決めてゴールに向かった」と話した。
 中学1年生で短距離を始め、陸上の名門・東京高進学後、基礎体力と調整力をつけてきた。今年8月のユース五輪(中国・南京)に、日本代表として出場するまでに成長。同大会の100メートル決勝では10秒57で銀メダルを獲得。トップとわずか0秒01差の大健闘を見せた。

合理的練習+「負けん気」

同校陸上競技部の練習は、放課後に2時間から2時間半。理論家として知られる大村邦英総監督の指導は「短時間でスリムな練習」が特色。チューブなどさまざまな用具を使い「体幹とバネのある筋肉、ぶれない体」づくりを基本に、「いかにしたら速く走ることができるか」を選手に考えさせる。部の伝統のスローガン「負けん気!」が選手を奮い立たせる。
 「ミニハードルやプレートを使った練習の効果を感じる。高校に入って、自分の走りをどれだけ伸ばせるかを考えるようになった」と大嶋。昨年のインターハイでは、優勝した桐生祥秀(10秒01のジュニア日本記録保持者、京都・洛南高―東洋大)の走りを見せつけられた。「中盤からの加速を見習いました」

東京五輪へダッシュ

1年の締めの大会を最高の形で終え、「来年中に、10秒02から10秒01を」と、意気込む。表彰インタビューでは「最大の目標は6年後」と宣言し、東京五輪に照準を定めた。
「多くの大会を経験して(注目される中で)力まず、平常心でいられるようになってきた。体をつくり、自分の走りを高めたい」と、「考える練習」を重ねる2年生。200メートルと合わせて、さらなる進化が楽しみだ。

おおしま・けんた
1997年9月3日、東京都生まれ。中学3年時に全日本中学校陸上選手権100メートル3位。高校1年時にインターハイ100メートル4位、東京国体の少年男子B200メートル優勝。174センチ64キロ。