大分工業高校の未来ロボット工学研究部が、パイプ状のレールに車輪を付け、障害物をよけながら吊り下げた物を運ぶロボットを開発。今年3月に特許権を取得した。
(文・写真 吉永恵子)
大会での悔しさバネに
きっかけは、2013年秋のロボット競技大会県大会での失敗だ。課題は、パイプを昇るロボット。しかし、部のロボットは、練習と本番のコースのわずかな違いにより、パイプに引っかかって前に進まなくなってしまった。
大会後、部員たちは悔しさをバネに、障害があっても走行できるように改良した。完成させると、14年春に最初の出願にこぎつけた。ところが、すでに類似の装置があるとして認められなかった。
部員は、一度は諦めかけたが、当時3年生だった瀧本空君がひと言「車輪を取っても(少なくしても)いけるよ」とつぶやいた。ここからヒントを得て、車輪の数を減らし、車輪の片側がパイプから離れても、反対側の車輪で支えて走行できるように改良したところ、そのアイデアが「独自のもの」と認定され、今年3月に特許を取得することができた。
専門用語調べ書類作成
出願書類は、30枚以上あり、技術と法律の専門用語がびっしり。部員たちは、装置の各部を解説したり、類似の特許がないか調べたり、苦労を重ねた。
部長の佐藤開人君(3年)は「この特許を生かして、人の役に立つものを作れたら」と語る。運べる重さを、現在の12キロ程度から、将来は50キロ以上に増やすことを目指す。人間を運べるようにして、介護の現場などで役立てたいという。
部活データ 部員16人(3年生7人、2年生7人、1年生2人)。2013年度パテントコンテスト文部科学省科学技術・学術政策局長賞受賞。14年の第1回ロボット相撲世界大会で、初代チャンピオンに輝いた。 |