模擬投票では、実際の選挙で使われる投票箱に投票した

今年夏の参議院議員選挙から、選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられる。これに合わせ、18歳選挙権への関心を高めてもらうためのイベント「高校生×選挙~18歳から考える僕らの未来~」が12月23日、群馬県前橋市内で開かれた。高校生有志の団体「群馬県高校生会議」が主催し、県内の高校生約30人が政策を討論した上で、模擬投票に臨んだ。(文・写真 田崎陸)

生徒同士 県の課題を議論

イベントは、県の観光と経済を考えるワークショップからスタート。参加者は「外国人観光客を呼び込む方法」「空き家の活用法」といった地元の課題をグループごとに議論し、アイデアを出した。「単なる模擬投票イベントとは一線を画し、地元の政策を考える部分に重きを置いた」(同会議代表の真下奏一君=県立前橋高校3年)

「本物」使い模擬投票

その後、ワークショップで出たアイデアをもとに、同会議のスタッフが模擬選挙の候補者となって政策を演説した。演説は本物の政治家さながらで、見学した大人も舌を巻くほど。演説を聴いた参加者は、本物の投票箱や記載台を使って投票した。演説と投票の前に、前橋市選挙管理委員会の職員が、選挙に行く際のルールやマナーをユーモアあふれる寸劇で解説した。

政治を学校で語りたい

参加者からは「今まで考えてこなかった1票の責任を感じた」「自分の町のことを考える大切さを知った」といった声が聞かれた。同会議副代表の深津里佳さん(高崎女子高校2年)は「選挙や政治という一見難しそうな話題を、楽しく学べるイベントにするよう切り口を工夫した」と話す。

参加者全員で記念撮影

高校の先生も見学

当日は群馬県内の高校の先生も見学していた。先生にとっても、生徒に選挙権が与えられるのは初めての経験。ある先生は、「試行錯誤するしかない。職員会議でも検討を重ねている」と苦労を明かす。先生からは「今日のイベントを参考にしたい」という声も聞かれた。

18歳が投票に行きやすくするには

選挙権を得た18歳が投票に行きやすくするには、何が必要か。真下君はこう話す。「学校での『政治=タブー』という雰囲気をなくし、友人と雑談交じりにニュースについて話し合える状態が理想です。家庭では、例えばニュース番組を家族で見ている時に、お互い思いを素直に話し合ってみるといいと思います。政治家には「若い世代の声を政治に取り入れてほしい」という「若者向けの政策があれば、選挙の時に私たちも責任を感じるのではないでしょうか」

深津さんは「友達と政治について、気軽に話し合うことはなかなか難しいですが、選挙で社会が動くということを自覚しないといけません。先生は、政治に関する話題を日常的に、生徒にかみくだいて話してほしいです」と話した。