全国の高校生が短歌で競い合う「第20回全国高校生短歌大会(短歌甲子園2025)」(全国高校生短歌大会実行委員会主催)が8月15日~17日に岩手県で開催された。40チームのうち予選を勝ち抜いた21チームが全国大会に出場。団体戦と個人戦で各賞が決定した。(敬称略)

団体戦

優勝 岩手・盛岡第三高校

  • 題:「二十」
  • 藤村嶺(1年)
  • 二十階 窓ガラスは
  • ツバメの墓地
  • 「人間も空に近づきたくて……」
  •  
  • 嶋瞳(2年)
  • 二十歳(はたち)から話題が増えた
  • でも私
  • あと3年は知らないでいい
  •  
  • 高橋こころ(2年)
  • 陽炎にとけて
  • もう名も呼べないな
  • 二十四節気の夏、猛(たけ)り立つ
  •  

準優勝 青森・八戸西高校

  • 題:「二十」
  • 高畑道磨(3年)
  • 戸籍上
  • 二十歳(はたち)になった日の夜に
  • コンビニの冷房に刺される
  •  
  • 沼山友娃(3年)
  • 紅花を摘み取る二十歳(はたち)
  • 凛として
  • 棘の痛みに慣れてしまった
  •  
  • 山形彩羽(3年)
  • ロボットが
  • 自分で紅を差したとき
  • 時計は二十倍速になる
  •  

第3位 宮城・古川黎明高校、神奈川・光陵高校

  •  

個人戦

  • 最優秀作品賞 榑松望乃(三重・高田高校2年)
  • 題:「深」
  •  深海の鼓動
  •  無数の波となり
  •  足の指の間にざわめく
  •  
  • 優秀作品賞 新藤さくら(宮城・宮城第一高校3年)
  • 題:「確」
  •  グミいる?と歩いてまわる教室で
  •  君との距離を
  •  そっと確かめる
  •  

特別賞

  • 審査員特別賞 茨城・結城第二高校
  • 話題賞 愛知・瀬戸工科高校
  •  

石川啄木賞

  • 長塚仁夢(茨城・結城第二高校3年)
  • 題:「切」
  •  疫病に途切れてしまった思い出を
  •  紡ぎなおしてゆくように
  •  春
  •  

話題作品賞

  • 佐藤朋弥(福岡・城南高校2年)
  • 題:「切」
  •  キリギリス
  •  歌が切り裂く秋の夜
  •  罪の深さを改めて知る
  •  
  • 船橋拓実(青森・青森明の星高校3年)
  •  題:「額」
  •  半額のシールの貼られる前にただ
  •  「選ばれたい」
  •  と東京を睨む
  •  
  • 佐藤心都(宮城・宮城第一高校2年)
  • 題:「額」
  •  額縁に閉じ込められた
  •  海の絵の補集合にて
  •  蟹は走った
  •  

特別審査員賞(小島ゆかり賞)

  • 柳原萌々子(神奈川・光陵高校2年)
  • 題:「再」
  • あの夏が再会できないものになる
  • 「伐採予定」の
  • 札、森に立つ