SNSやショート動画からニュースを知る高校生が増えている。便利で身近な一方、フェイク情報を信じてしまう危険も。NHKの情報番組「週刊情報チャージ!チルシル」のチーフプロデューサー・遠衛孝成さんに、高校生に知ってほしいニュースの受け止め方を聞いた。(聞き手・高校生記者=皆元あぐり、マッコムズ健也、構成=椎木里咲)
分かりやすさと楽しさを両立したい
―「若い世代はニュースを見ない」と言われますが、どう感じていますか。
最初は私も、「若い世代はニュースを見ない」と思っていました。しかし実際に高校生などにリサーチすると、ニュースそのものに関心は持っていると感じます。
―遠藤さんが携わる「週刊情報チャージ!チルシル」は、子ども向けのニュース解説番組です。
若者の関心にこたえるにはどうすればよいか、試行錯誤する日々です。ただ、ニュースの本質に踏み込むと難しくなりすぎて、子どもがついてこられるのかというジレンマもあります。だからこそ、楽しさや分かりやすさとのバランスを考えています。

「情報を取捨選択する力」が必要
―XやインスタグラムなどのSNSや、ショート動画でニュースを知る若者も増えています。放送局として、危機感はありますか?
ニュースに触れる機会が増えるのは良いことです。私自身「NHK for School」という教育コンテンツを担当してきましたが、子どもたちには小さい頃から世の中の出来事に触れてほしいと思っています。そういう意味では、いろいろな媒体からニュースに触れられるのはとてもいいことだと思います。
危機感があるとすれば、フェイクニュースをそのまま信じてしまうことです。情報を取捨選択し、自分で判断する力を身につけてほしい。そのためにチルシルでは、SNSの仕組みやアルゴリズムも紹介し、子どもと一緒に考える内容にしています。

SNS世代だからこそ伝えたい
―「週刊情報チャージ!チルシル」は、以前NHKで放送していた「週刊こどもニュース」のようですね。令和の今、復活させた理由を教えてください。
当時の「週刊こどもニュース」が放送されていた時代は、まだSNSがほとんど普及していませんでした。今の子どもたちはスマートフォンやタブレットを通して、意識しなくても大量のニュースを目にしています。その情報が正しいのかどうかも分からないことが多い。
だからこそ、ニュースを得意とするNHKが改めて、世の中で起きていることを分かりやすく、興味深く伝える番組を作る必要があると考えました。
短くてもOK、ニュースに触れよう
―最後に、高校生にどのように番組を見てもらいたいですか。
忙しい高校生に、すべてのニュースを見てもらうのは難しいと思います。でも、短い時間でもいいから触れてほしい。興味のあるニュースから入っても、放送を通して他のテーマにも自然と触れられる。そうやって世界の広さを知ってほしいと思っています。

-
週刊情報チャージ!チルシル
毎週土曜朝9時から生放送。みちょぱ&佐々木希による新スタイルの「こどもニュース」。1週間の大事なニュースを10分でおさらいする「正直わからんニュース」コーナーや、みちょぱ演じるニュースモンスター・ちるるが解説する「特集」など盛りだくさん。https://www.nhk.jp/p/chirushiru/ts/W5JL3V98Q8/