NHKの子ども向け情報番組「週刊情報チャージ!チルシル」の収録現場を高校生記者の皆元あぐりさん、マッコムズ健也さんが取材。難しいけれど知ってほしいニュースを分かりやすく伝えるための工夫を探った。

「分からないニュース」をかみ砕く

「週刊情報チャージ!チルシル」は、世の中の出来事を子どもから大人まで楽しみながら知ってもらうことを目指した番組だ。1週間の中で起きた大事なニュースを、NHKのアナウンサーや解説委員がかみ砕いて説明する。「チルシルズ」と呼ばれる小中学生の出演者が、ニュースの中で分からない部分をどんどん質問していくのも特徴だ。

スタジオで出演者に取材を行う高校生記者(左、左から2番目)

ニュースを分かりやすく解説する「ニュースのお兄さん」として出演している江原啓一郎アナウンサーは、「難しいテーマでも、子どもに知ってほしいものはきちんと伝えるよう心がけている」と語る。ニュースの本質をどう日常生活の話に置き換えるか、例え話を交えながら工夫している。

「ニュースの本質」考えながら伝える

取材時、番組で取り上げられていたのは、一度確定した裁判をやり直す「再審制度」や選挙、宇宙開発といった話題だった。江原アナは「何がニュースの本質なのか、なぜ自分はここに引っかかるのかを考えながら」伝えようと意識しているという。

打ち合わせでは、台本通りに読むのではなく「この言い方だと伝わりにくいのでは」とスタッフと意見を交わす。30分ほど話し合ってから自分なりに工夫を加えることもある。

「わからない」を大切に

番組では「わからない」と思った出演者が、気軽に質問できる雰囲気づくりを行っている。「わからないままにせず、周りに聞くのは大切。自分もそうしたいし、教えてくれる人を尊重したい」(江原アナ)

左から出演している佐々木希さん、池田美優さん(チルルの声を担当)、チルシルズ、江原アナウンサー

「子どもに伝えたい」情報をチョイス

チーフプロデューサーの遠衛孝成さんは、「番組で扱うテーマは『子どもに見てほしい』からではなく『子どもに伝えたい』から選んでいる」と語る。「芸能やスポーツばかりを取り上げれば若い世代は見やすいかもしれないけれど、本当に大事なことを伝えられなくなるかもしれません」

江原アナに質問する高校生記者

難しいテーマを選ぶ分、アニメーションやCG、番組キャラクター「チルル」のプレゼンテーションなどを使って、子どもでも理解しやすい工夫を凝らしている。

「いろいろな情報が飛び交う今だからこそ、世の中で起きていることを楽しく子供たちに伝える番組です。明るい番組だと思ってみていただければと思います」

週刊情報チャージ!チルシル

毎週土曜朝9時から生放送。みちょぱ&佐々木希による新スタイルの「こどもニュース」。1週刊の大事なニュースを10分でおさらいする「正直わからんニュース」コーナーや、みちょぱ演じるニュースモンスター・ちるるが解説する「特集」など盛りだくさん。https://www.nhk.jp/p/chirushiru/ts/W5JL3V98Q8/