かすてらさん(仮名、大学1年)は、学校推薦型選抜で一橋大学に合格した。「私には無理だ」と考えていた推薦入試を受けると決めたのは、高3に上がる直前。努力を重ね、合格を勝ち取るまでの道のりを聞いた。
高2で大学訪問「一橋に行きたい」と決意
私は地方に暮らしていて、「関東にある大学に通いたい」と思い描いていました。高2の夏休みに、地元の団体主催の東京の大学をめぐるツアーに参加し、東京大学、早稲田大学、慶應義塾大学、一橋大学を回りました。
一橋を訪問すると、将来の夢に直結する内容を学べる学部に出会えました。所属学部以外の授業を履修できる点も魅力でした。緑が豊かで落ち着いた雰囲気にもひかれ、「ここに行きたい」と感じました。第一志望が決まった瞬間でした。

「推薦なんて無理」…じゃないぞ!
学校推薦型選抜を受けようと決めたのは、高3に上がる直前。それまで、親には「推薦も受けてみたら?」と言われていましたが、「レベルが高すぎて無理だ」と一般選抜での受験を考えていました。
しかし、ふと学校推薦型選抜の要項を見ると、英検1級を取得していれば出願資格が満たせるとわかりました。高2のときに準1級を取っていたので、「1級も受かるかも」と思ったんです。高2の3月から高3の5月にかけて1級の勉強をし、6月の試験で一発合格しました。
2カ月半かけて推薦書を準備
推薦に必要な自己推薦書は、文化祭と体育祭が終わった9月末から書き始めました。私は新しいことに挑戦するのが好きで、高校でもいろいろな課外活動に参加していたので、その経験をまとめました。
オーストラリアやマレーシアへの短期留学経験や、生徒会役員の友達に誘われて参加した学校の課題を解決する活動などをまとめ、学校の先生や国語が得意な友達に見せてアドバイスをもらいました。完成したのは12月前半です。

小論文は週1で書く→添削を繰り返し
苦労したのは小論文です。3年の夏に塾の対策講座を受け、秋ごろから本格的に対策を始めました。週に1本書いて、学校の国語の先生に添削してもらいました。時間内に書き終えるのが大変で、添削してもらう中で自分なりの「型」ができました。冬休みには『小論文これだけ!』(樋口裕一、東洋経済新報社)シリーズを何冊か読んで、より対策を強化しました。
公募推薦と一般選抜の両立に苦労
一般選抜にも出願していたので、公募推薦対策との同時並行が大変でした。私は数学だけ週に1回塾に通っていましたが、他の教科は学校の授業の復習を中心に勉強していました。
クリスマスからは、共通テスト対策に専念。共通テスト後は、公募推薦に向けて小論文対策と面接練習4割、2次試験対策6割くらいの配分で勉強していました。
周りが2次試験に専念している中、私は小論文対策と面接練習で思うように2次試験の勉強ができずに焦っていました。公募推薦の合格発表日の10日後には一般選抜が控えていたため、精神的にきつかったです。

面接はフランクに楽しめた
本番では、小論文の時間が足りず、最後の方が殴り書きになってしまい、内容も自信がありませんでした。
しかし、面接では気持ちを切り替えました。志望動機や学びたいこと、自己推薦書の内容などについて聞かれました。想像よりフランクな雰囲気だったので、楽しみながら話せたせいか、無事合格をつかみ取りました。
推薦入試の情報「早く集めて」
振り返ると、推薦入試に関心があるなら、できるだけ早く情報を集めておくべきでした。2年の3月に気づいてから英検対策をするのは、かなりギリギリだったからです。
高校に入学してすぐに、大学のHPを見たりパンフレットを取り寄せたりして、推薦入試の情報を集め始めてもよいと思います。「自分には無理」と決めつけず、まずは調べてみることが大切だと実感しました。