立論後、グループで作戦を立てた上で「反対尋問」で質問する

守山高校(滋賀)の1年生7クラス280人は、社会の課題に対して主体的な姿勢で学ぶことを目指して、昨年11月からディベート学習に取り組んでいる。ディベートはクラスごとに実施され、これまで国連平和維持活動(PKO)や自然エネルギーなどをテーマに議論。12月17日には、2クラスで「日本は移民政策を緩和すべきである」を議題にディベートを行った。

データで主張を裏付け

肯定側チーム8人は、生産年齢人口の減少と労働力確保の必要性、新たなビジネスの可能性など、緩和策のメリットを挙げた。一方、否定側チーム8人は、移民の増加による社会の混乱や治安の悪化について主張。それぞれ論理の裏付けとして、移民が増える要因や欧米の移民政策の現状について新聞やネット、文献などで調べ、詳細なデータや数字を活用した。

 勝敗は、各クラスの他の生徒が、論理性や話し方など、より説得力があると判断したチームに投票。教員らの評価と合わせて多数決で決定した。1クラスは否定側が、もう1クラスは肯定側が勝利した。

 否定側の立論を務めた仲田麗可さんは「情報収集にあたり、ネットだけでは正確な証拠を得ることが難しい。短い時間で分かりやすく論理をまとめるのは大変だが、ディベートを通じて海外の難民問題などが人ごとではなくなった」と話す。

 また、肯定側に軍配を上げ、評価コメントを発表した原田大生君は「それぞれの主張の焦点や裏付けとなるデータの正確性を把握して評価を下すのは簡単ではないが、自分が発表するときの参考にもなる」と言う。

 この取り組みは今年も続けられ、ディベート学習の集大成として3月14日に選抜チームによる決勝大会が市民ホールで実施される。

(新海美保)


■2014年度にSGH指定。地方自治、法と社会規範、生態系保全の3分野を軸に他国と日本の課題を比較研究し、自然や社会とのつながりを知る学びを推進している。